モチーフはもちろん「南総里見八犬伝」です。
日本人は「八犬伝」が大好き。
わたしも大好き。
「八犬伝」を題材とした作品は数かぎりなくあります。
わたしが一番最初に思い浮かぶのは、鎌田敏夫の「新・里見八犬伝」です。
薬師丸ひろ子主演で角川映画になったヤツの原作ですな。
鎌田敏夫のはエロかった。→新・里見八犬伝 (上) (角川文庫 (5887))
映画になったらエロくなかった。→里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]
ま、薬師丸ひろ子だしな。
さてさて、この作品↓「伏~贋作里見八犬伝」は週刊文春に連載されていたのを偶然読みました。
桜庭一樹氏は直木賞受賞作品の「私の男」がちょっと・・・だったので、敬遠していたのですが、この連載をチロっと読んで、興味が出ました。
苦手だと思った作家さんの作品も、「歴史もの」っぽいとするする読めるんですな、わたしは。
それからいろいろと読みましたよ。
桜庭さんのエッセイも大好き。
ちっちゃな猟師の女の子・浜路は、義理の兄・道節を頼って、江戸へとやってきた。
浜路は賞金稼ぎのため、兄とともに江戸の街で「伏」(犬人間)を狩ることになる。
伏ってやつに生まれるとよ。
なぜだか、世の中ってもんにうまくなじめねぇ。
ひとを愛せないし、愛するものを守る力も、心ももたないぜ。
複雑なめぐり合わせによって出合った男・滝沢冥土が、浜路に語る「贋作・里見八犬伝」とは・・・?
ということで、猟師・浜路の捕物帖のなかに「贋作里見八犬伝」が劇中劇として登場します。
この「贋作里見八犬伝」の部分が圧巻でした。
里見義実の娘・誰からも愛される光のような存在であった伏姫が、因果を背負い畜生道に身を落としていく様に、ゾクっとしました。
八房も、飼い犬から野生の獣へと変化していきます。
じわじわと変化するカンジ。
ものすごく無知なことなんですが、わたしは「南総里見八犬伝」で、伏姫が「異種姦」をかたくななまでに否定していたのを重要視していませんでした。
すみません。
だってここは日本!
鶴と人間との間に子どもが生まれてしまう日本!!
天女と人間との間にも子どもが生まれてしまう日本!!
「異類婚姻譚」についてはおおらかすぎる日本!!
「南総里見八犬伝」は→忠臣・孝子・貞婦のおこないは報いられ、佞臣・姦夫・毒婦のおこないは罰せられる、儒教的道徳にもとづいた勧善懲悪の物語なんですよね。
作品上はそう描かれていたけれども、滝沢馬琴も「異類婚姻」を想定して書いていたんではないか?と勝手に思ってました。
すみません。すみません。
この作品は「八犬伝」を「因果の物語」として描いています。
主人公の浜路は根っからの猟師で、自分のすべきことをわかっています。
例え知り合った相手だとしても、自分は「狩る側」、伏は「狩られる側」
「光と影」、「繁栄の陰に埋まる人身御供」
様々な因果が描かれています。
「南総里見八犬伝」のキャラクターが、「伏~贋作里見八犬伝」と「贋作里見八犬伝」に別れて登場します。
これは、原作の「南総里見八犬伝」を読んだことがないと、ちょっと厳しいかもな~とも思います。
知っているからこそややこしいという意見もありますな。
わたしはそこは気にならなかったんですけども。
難点を言うと、作品中で語られる「贋作里見八犬伝」が秀逸すぎて、本編が拍子抜け。
本編はアクションです。
そして、この作品はアニメ化が進んでいるらしいですが・・・。
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ラベル:本