2008年08月11日

“鏡の森”

タニス・リーの「鏡の森」です。

「現代のシェヘラザード」「ダーク・ファンタジーの女王」と言われる彼女の作品、実は読んだのははじめてです。

この作品は「タニス・リー版・白雪姫」らしいです。

ギリシャ神話の有名な、「冥王ハデスが収穫の女神デメテルの娘・ペルセポネを攫い強引に結婚してしまった」という逸話もモチーフとしてちりばめられています。



黒は森、白は雪

雪の下に伸びるは赤き薔薇。


髪は森のように黒く、白い肌は雪よりも美しく、血のごとく赤き唇、瞳は明るい水灰色。

王女アルパツィアが14歳になった冬の日、彼女の住む城は征服者ドラコによって陥落し、連れ去られた彼女はドラコによって陵辱される。

アルパツィアはドラコによって「豊穣の女神デメトラの土地」ベルグラ・デミトゥに連れて行かれ、無理矢理に王妃にされ、やがて敵中で女の赤ん坊を産み落とす。

14歳の若すぎるアルパツィアには、自分の産んだ子をどうしても認めることができなかった。

生まれた王女は「鮮烈な白さ」という意味に由来する名「カンダシス」と名づけられた。

まわりは本能的に王女を母親から引き離し、母親も娘を愛そうともしなかった。

カンダシスはまわりのものから「コイラ」(娘という意味)と呼ばれ、母を知らずに育った。

しかしコイラが7歳になったある日、彼女は城でたまたま見かけることのある、美しく冷たい女、侍女たちから「魔女」と呼ばれている女が自分の母親であると気付く。

「白雪姫」の魔女が、実は「継母」ではなく「実母」だった、というのは結構知られている話ですよね。

グリム童話の本が売れたことがありました。

白水社のこのシリーズ↓。


桐生操氏のこのシリーズ↓。


当時、売れましたね〜。

何故だか知らないけれど、わたしは幼い頃から、「白雪姫」に出てくる「魔女」が、「白雪姫の本当の母親」だと思っていました。

実際、実の母娘だからこその「確執」というものを、わたしは幼い頃から無意識に感じていたのだと思います。
大人になってはっきり意識するようになりました。

だから、「魔女」が「白雪姫の本当の母親」でも違和感を感じたことはありません。

むしろしっくりハマる。

さて作品の「白雪姫」の母親「アルパツィア」

男女の営みも知らぬ、幼さで陵辱され、得体の知れないものを身ごもった恐怖。

たったひとり、敵中にいる恐怖。

その果てに産み落とした娘への嫌悪。

リアリティを感じました。

が、

妊娠したことないので、本当のことはわかりません。

自分の敵で、自分を無理矢理犯した、しかも生理的に嫌悪感を感じる男の子どもを、果てして愛せるものなのか??

わかりません。

生まれた娘が自分そっくりだったとしたら・・・??

まるで鏡を見ているように、自分に見えてしまったら・・・??

アルパツィアは幼くして母となり、王妃となり、誰も彼女を成長させようとしませんでした。

アルパツィアの心はいつまでも14歳のままなのです。

いつまでも美しさが保てるわけではなく、やがて老いて醜くなり・・・。

娘の「コイラ」は彼女と別の道を歩むことになります。

彼女を目覚めさせた「王子」は、彼女にとって「救い」ではありませんでした。

死んでいる娘に何かしようとする男なんて、よっく考えれば・・・アブノーマル??

この作品、ダーク・ファンタジーと言われてはおりますが、ファンタジーなのは「文章」であって、書かれている内容はとてつもなく「リアル」ではないか?と思いました。

文章はまるで色の洪水のようです。

タニス・リーの文章は和訳するのがむずかしいのでしょうか??

曖昧な表現が多いので、若干読みにくいです。

けれど、わたしは彼女のほかの作品も読んでみたいと思いました。


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2008年07月17日

“鬼のすべて”

鯨統一郎「鬼のすべて」です。

え〜、この本の著者、鯨統一郎氏のことは、名前しか知らなかったです。
デビューは98年。
おいおいおい、98年、わたしはまだ書店員でした・・・ふっ、ダメ書店員・・・。

デビュー作は「邪馬台国はどこですか?」(創元推理文庫)

創元推理文庫・・・・まず、手に取らないです

ということで、この本はミステリーです。

あれ?ここの管理人ってミステリー苦手じゃなかったっけ?

と思った方、正解です。

何かきっかけがないとなかなかミステリーには手が出ません。

きっかけっていうかタイミングね。

例えば、いつも読んでいる雑誌に紹介されていたのが気になった。
友人に薦められた。
大ファンの同人作家さんがその作品を好きだと知った(←特異なケース・・・)。

などなど。

ある日、わたしのもとへ一冊の文庫本が送られてきました。

差出人は「姉さん(仮名)」

あら?姉さん、オススメの本を送って下さったわ?n?[?g?????i?????n?[?g?j

と思ったら

姉さんったら、この文庫本の解説書いてるよ!!

すっげー!!!

姉さん、ほんとに底が知れない人です。←褒め言葉デス。

姉さん、ありがとーvv



主人公は警視庁捜査一課の刑事・渡辺みさと(24歳)。

みさとは友人の若江世衣子との待ち合わせ場所で、世衣子のまるで「鬼のように」見立てらた異様な死体を目にする。

その後犯人の犯行声明文が各新聞社に送りつけられ、事件は「無差別殺人」へと発展を見せる。

キーワードは「鬼」

世衣子は何故殺されたのか?

そのうちに第2の殺人が起こる。

またもや「鬼」のような異様な死体。

みさとは「日本から鬼を消し去る」と言って警視庁を去った、かつての敏腕刑事・「ハルアキ」の力を借り、事件を解決しようとする。

「鬼のすべて」というくらいですから、読んでいくと、だんだん「鬼」にくわしくなれます。

「鬼」の語源についてちょっと興味があって、昔調べたことがあるので、「ふむふむ」とうなずきながら読めました。

わたしが中途半端に調べたときには、語源は「恩」か「穏」ではないか〜?で終ってしまいましたが。

現代日本では「昔話」に登場するものとなってしまった「鬼」

かつて日本には本当に「鬼」が存在しました。

現代も、「鬼」は実在するのかもしれません。

わたしたちが気がつかないだけで。

鯨統一郎氏の考えた、「鬼」の正体もなるほど・・・と思います。

それにしても・・・自分の研究のために警察を辞め、親の遺産でくらしている「ハルアキ」さんがうらやましいです。

名字が「阿部」って、いくらなんでもあからさますぎやしませんかね?

そうそう!わたし、ミステリーが苦手というか、最近の売れている作家さんの「文章」が苦手なのかもしれない。

鯨統一郎氏の文章は、なんか、ちょっとわたしの好きな作家さんの文章に近いかも。

わたし、ミステリーが「推理小説」と言われていたころの文章が好きなんです。

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2008年06月01日

“吉原手引草”

松井今朝子「吉原手引草」です。

第137回直木賞受賞作です。

最近の静かな「吉原」ブームの火付け役の作品と言われております。



吉原五町でも一二を争う大見世、仙禽楼舞鶴屋の呼び出し花魁葛城は、まさに全盛を誇ろうとしていた。

美しいばかりではない。
あれほど肝のすわった花魁は後にも先にもいない。

十年に一度と謳われた若き花魁葛城。

その葛城が忽然と姿を消した。

何故?どうやって??

大門で世俗と隔たれた「吉原」から彼女が逃れる方法はあったのか?

一体何が起こったのか?

十七人の男女が語りだす「葛城」の真実と裏とは?


というわけで「吉原」モノのミステリーなんです。

ミステリー・・・うっ!!

御存知の方は御存知。

わたしはミステリー苦手なんです。

つまりはややこしい話が苦手ってことです。

この作品は葛城に関わった十七人の男女がある人物に問われて語っていく方式で書かれています。

だから、「葛城」以外の話のほうが多いぐらいです。

「吉原」のあれやこれやが語られていきます。

読みすすめていくうちに「吉原」について「手引き」されていく、というまさに「吉原手引草」です。

だんだんと真実が明かされていく構成なのですが、読みやすいか?といえば読みにくいです。

登場人物それぞれのしゃべり方が違うものですから。

しゃべり言葉をそのまま文章で読むと言うのは、なかなか難しいです。

話題のもとの「葛城」は最後まで姿をあらわしません。

この作品は、葛城が起こした「とある事件」から三ヶ月ほどたったあたりからはじまります。

吉原の時間の動きは、ゆったりしているようで実は目まぐるしく、三ヶ月のことなど忘れ去られようとしている頃なのです。

人々は葛城のことを忘れようとしながらも、なかなか忘れられない。

最後200Pを越えたあたりから急展開に入ります。

葛城がおこした事件は、実は葛城一人が起こした事件ではなかった、ということになります。

葛城という花魁の人物像はあまりに完璧すぎてつかみ難く、それがかえって「十年に一度出るか出ないかという花魁」という印象を強くしています。

それでいて読後は「すっきり」という不思議な作品でした。


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2008年05月29日

“甘露梅 お針子おとせ吉原春秋”

宇江佐真理「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」です。

わたしにしては珍しく「江戸時代」モノです。

最近、「吉原」が静かなブームらしいです。

火付け役は安野モヨコ氏の「さくらん」や、松井今朝子氏の「吉原手引草」らしいです。

と、「ダ・ヴィンチ」の6月号で「吉原花魁物語」という特集が組まれていました。

注・立ち読み。

それで、まぁ、わたしも読んでみましょうと思いまして、図書館で「吉原」で検索してこの本を借りました。



「江戸時代」のことってあまり知らないのですよ。

「吉原遊郭」は江戸幕府に公認された「遊郭」

「明暦の大火」以前に日本橋に存在したものが「元吉原」

大火後、日本堤に移転したものを「新吉原」

ということをはじめて知りました。

この物語の舞台は「新吉原」です。

主人公のおとせは未亡人。

岡っ引きだった夫と死に別れ、20歳になる息子が「出来ちゃった結婚」をしたため、裁縫の腕を生かした住み込みの仕事を口入れ屋(奉公先の周旋屋)に頼んだところ、紹介されたのは「新吉原」の「海老屋」のお針子の仕事。

素人女が足を踏み入れる場所ではないと思いつつ、おとせは「海老屋」に奉公することとなる。

そこは、「大門」で世間とは隔たれた別世界。

遊女たちの女の闘い、涙、悲哀、そして決して叶わぬ恋を、素人女の普通の感覚でおとせは接していくこととなる。

主人公が元岡っ引きの女房で、普通の庶民の感覚の持ち主なので、主人公に感情移入がしやすいです。

「吉原遊郭」ならではのしきたりなども読みすすめていくうちに次第にわかるように書かれております。

「花魁道中」を行えるのは、大籬(おおまがき)と呼ばれる大見世が抱える「呼び出し昼三」と呼ばれる最高級の花魁のみ。

「大見世」は「引き手茶屋」の紹介がなければ客は上がれない仕組みになっている。

「花魁道中」はその「茶屋」に呼び出されて、大勢の見世の若いもの、振袖新造(15、16歳くらいの見習い)、禿(7,8歳の幼女などを引き連れて豪華に行われる。

「呼び出し」は大籬でも一人か二人。
吉原全体でも5、6人しか存在しない。

「呼び出し」となる花魁は幼いころから琴、三味線、茶の湯、生け花、書画俳諧、囲碁などの英才教育を受ける。

将来大事な商品であるから。

遊郭で好かれる客は「粋」な客。
嫌われるのは「野暮」な客。
とくに嫌われるのは、参勤交代で江戸へ来て、記念に「吉原」で遊ぼうと考える「田舎侍」

主人公のおとせは20歳の息子と孫と、18歳の娘をもつ中年女として描かれていますが、なんと36歳。

36歳で中年、中年と書かれていてショッキングでした。

でも当時の寿命から考えると仕方ないですね。

最後におとせは吉原を去ります。

小さな幸せを手に入れて。

おとせが勤めている「海老屋」の妓夫(客引き)・筆吉に

「こんなところにも当たり前の考え方をする人がいるんだねぇ」

と言われるシーンがあります。

当たり前のまっとうな感覚で花魁たちを見、ときにさりげなく気を使うおとせ。

花魁たちにとって頼れる存在になっていたのではないでしょうか?

華やかな世界の裏に存在するまた別の世界。

「吉原」を知る「入門書」のような作品です。

松井今朝子氏の「吉原手引草」の前にこのような物語を読んでおくと、「吉原手引草」も入り込みやすく読めます。


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2008年04月01日

“ベーコン”

井上荒野「ベーコン」です。

第138回直木賞候補作でした

「食」にまつわる9編の短編集です。



「ほうとう」

「クリスマスのミートパイ」

「アイリッシュ・シチュー」

「大人のカツサンド」

「煮こごり」

「ゆで卵のキーマカレー」

「父の水餃子」

「目玉焼き、トーストにのっけて」

「ベーコン」

食とエロスを融合させた物語たちです。

よく、「食べている姿」って「エロスを感じる」とか言う人いますよね。
ま、人に向かって言ったらセクハラですが。

食欲と性欲は人間の欲望として正しいわけで、食欲が健全にある人は、性欲も健全にある、というのは当たり前。

食欲がない人に性欲がないのは、これもまた当たり前。

「うつ」になると、食欲は減退しますので性欲も減退。

わたしは、食欲は出てきましたが、いまだに料理は自分でつくれません。
自分でつくるなら、食べなくてもいいやってカンジ。
性欲は減退のまんまっす。

健全な食生活を送っている人は、性生活も健全に送っているんだなぁ、とあらためて感じた一冊。

いや、健全っていうか、この本での「相手」は必ずしも正しいパートナーではなかったりするのですが、行っている行為そのものは、人間として、ごく正しい欲望の発露ではないか?と思った次第です。

ハイ。


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あ!エイプリルフールに普通の記事を書いてしまった!!
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2008年03月21日

“煩悩夢幻”

瀬戸内晴美著「煩悩夢幻」です。

母が瀬戸内晴美・寂聴ファンで、我が家には古い文庫本がたくさんあるのです。

この本は、ネタにしようと思って自分の部屋の本棚に突っ込んでおいたのですが、いい加減、片付けようと思いまして引っ張り出してきました。

古い作品なので画像がないよ。
なんてったって瀬戸内「晴美」時代の作品なのだから古い。
私の生まれるかなり前〜の作品。



筆をとれば、ただその人への恋の歌がほとばしった。

和歌史上最大の女流歌人・和泉式部の「和泉式部日記」を小説化したものです。

彼女のことについて書いてある本にはみな書いてあります。
彼女はこと和歌にかけては「天才」だと。

紫式部は「紫式部日記」で彼女の才能に嫉妬しているかのようなことを書いています。

〜彼女は品行上、常道を逸した面がある。
口にまかせて歌う即興の歌などに、必ず一点は魅力的なところをいれてある。
口先だけですらすらといくらでも歌が読める人なんでしょう
とくに私が引け目を感じる方ではありません〜

あの、「源氏物語」の作者。
まさしく誰よりも天才の紫式部がちょっといじわるに批評せずにはいられなかった人物。

男にもてる女は憎い。

男にもてて、才能もある女はもっと憎い。


ってトコロでしょうか?

彼女は同性から嫌われ、異性から好かれる典型的な女性だったのかもしれません。

しかし、「才能」があった。

真の才能のあるものは、その人間の「才能」を認めざるを得ない。

というわけで、紫式部はともかく、当時の才媛、赤染衛門や清少納言とは仲が良かったらしく、交流もあったらしいのです。

男(一流)にもてて、ごく少数だけど、自分の「才能」を認めてくれる、趣味の合う「才能」のある人たちと交流がもてる。

女性が家から外に出ることがなかった平安時代に、それは実は恵まれた境遇のようにも思えます。

受領階級の橘道貞と結婚し、一女(小式部内侍)をもうけ、幸せな家庭の主婦だった彼女。

その彼女が世間を騒がす大恋愛スキャンダルを起こします。

相手は冷泉帝第三皇子・為尊親王。←当時、美男子と大評判なプリンス。四歳ほど年下。

結果、夫道貞とは離別。
両親からは勘当され・・・。

しかし、二年後為尊親王は亡くなり、その後さらなる大スキャンダルが!!

相手は為尊親王の弟、敦道親王(冷泉帝第四皇子)。←兄・為尊親王と同じく美貌のプリンス。八歳ほど年下。

敦道親王の正妃が激怒して実家に帰ってしまい、非難は二人に集中します。

しかし、またもや敦道親王に先立たれてしまいます。

彼女は「うかれ女」と蔑まれますが、その「才能」だけは誰もが認めずにはいられなかった。

藤原道長は彼女の才能を買い、自分の娘・中宮彰子の女房にします。

うーん・・・、こうやって書いていると、現代劇だとすんごいドロドロな愛憎劇になりそうなんですけど・・・・。

平安時代に起こったことだと考えると、「雅」な感じになるから不思議です。

彼女に言い寄った男たち。

どうも一流クラスは彼女の「才能」を愛し、受領クラスは彼女の美貌のみを愛し「才能」を理解していなかったように書かれています。

ま、ほんとのところどうだかは知りませんが。

彼女の相手にふさわしい階級の男たちが、真の彼女を愛せないのなら、彼女はやはり「幸せな結婚」「幸せな家庭」には向いてなかったのだなぁ、と思います。

彼女の愛した娘・小式部内侍は、母より先に若くして亡くなってしまいます。

しかし、彼女の「歌」は残った。娘の「歌」も残っている。

千年以上たってもまだ残っている。

生身の和泉式部は何をもって「幸せ」としたのかなぁ?とぼんやり考えます。

ああ、そうそう、この作品。

かなりエロティック。

でも「雅」。

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2008年02月21日

“花物語 上 中 下”

吉屋信子先生の「花物語」でございます。

わたくし、実は大正時代から昭和初期に書かれた「少女小説」というものが大好きなのでございます。

『礼子さん・・・・・・あれは燈台の灯でしょうね』

『ええ、あの・・・三保の松原の・・・・・・』

『三保の松原・・・・・・じゃあ、あの羽衣を天女のかけたという松のあるところですわね』

『ええ、そうですの、今でもございますわ、浜辺に囲いがして・・・・・・』

拝 啓 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
ハローワークの紹介を受けて、貴社の求人内容を拝見し〜〜〜。


ああ、パトラッシュ・・・、履歴書書いてて、ぼく疲れちゃったよ・・・・。

と、こういうとき「少女小説」を読み、美しい文章に触れて心を癒すのでございます。

『あの・・・・・・あの頃半巾落としをしたのを覚えていらっしゃいますか・・・・・・』

『悲しきはこの花なり、なつかしきはこの花なり・・・・・・なんてほんとに好い』

『初音様、お負け遊ばすな』



『あの、お好きな桜貝を今度お土産に持ってきて差し上げましょうか』

『まぁ、うれしい』



人はこれを「逃避」と申します。
ええ、そうなのです。

わたくしは逃げているのです。

嗚呼、どうしてわたくしはこんなにも弱く、愚かなのでしょう。

皆様、わたくしをヘタレとお叱りください。



おや?電話が鳴りましたわ。

げげげげげっ!!

面接?????[???i???j?????[???i???j

と な ! ?

ベンチャー企業(平均年齢若っ若っ!!!)の書類選考に通ったそうです。

考えるだけで汗がでてまいりましたわ。
眩暈もいたします。
胃も痛くなってまいりました。


あわれ、ゆかしき花よ。


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2008年01月02日

“マルドゥック・スクランブル”金色のネズミ。

冲方丁「マルドゥック・スクランブル」です。

この著者名、どう読むのかわかりますか?

うぶかた とう と読みます。

は?もうご存知ですか!?
田舎の書店では、たまに間違ったところに棚差しされてます。

この作品が発表され話題(2003年)になってから、かなりの年月が経ってしまいました。

すでにハヤカワ文庫の「定番」もしくは「ランクA」もしくは「S」「SS」くらいの扱いになっているんでしょうなぁ〜?

やっと読み終りました。疲れました。

この作品では「ネズミ」が登場し、大活躍し、ついでにモテモテなので、「子年」の今年最初の一冊(っつか3冊)にはちょうどいいんではないかい?と思います。



港湾型重工業都市・マルドゥック・シティ。

賭博師・シェル・セプティノスに買われていた少女娼婦・ルーン・バロットは、「彼から与えられていたもの」に疑問をもった瞬間、エアカーに閉じ込められ爆炎に包まれた。

「なんで、私なの・・・・?」

「死にたくない」

それが彼女が発した最後の自分の声。

彼女は生きていた。

夢のなかで彼女は選択する。

(死にたくない)

彼女が選択したことで、マルドゥック・シティの「人命の保護を目的とした緊急法令・マルドゥック・スクランブル」が発動した。

マルドゥック・スクランブル−09

非常事態において法的に禁止された科学技術の使用が許可され、彼女は蘇生した。

彼女を救ったのは、マルドゥック・スクランブル−09の委任事件担当官、ドクター・イースターと、ウフコック・ペンティーノ。

ウフコック・ペンティーノは委任事件担当官にして、ネズミ型万能兵器だった。

自分を焼いた男・シェル・セプティノスとその背後にいるオクトーバー社を法的に裁くため、自分の自己を取り戻すため、バロットはウフコックとともに戦う決心をする。

目の前に立ちはだかるのは、シェルの担当官、かつてのウフコックの「相棒」・そしてウフコックを「濫用」し尽くした男・ディムズデイル・ボイルドだった。



ウフコックはしゃべる金色のネズミです。

二本足で立って、普段はズボンを履いてます。
手のひらサイズです。

最強の白兵専用兵器です。

彼は「銃」にもなるし、「ナイフ」にもなる。
バロットがまとうスーツにもなる。
データの解析までやってくれる。

万能道具です。

この金色のネズちゃんが、カッコいいんですよ!!

ネズミなのに!!!

渋い男です。ネズミなのに!!!



さて、この作品における「戦い」

それは銃撃戦だけではありません。

頭脳戦もあります。

そもそも彼女の戦いの目的は、敵を倒すためのものではありません。

少女の戦いは、ときに関わる人間を救います。

「敵」である概念がひっくり返ることもあります。

「戦い」の果てに彼女が得たものは?



なかなかに大作でございました。

読み終えた後も充実感もひとしおです。

そんなわけで

あけましておめでとうございます????

みなさま。今年もよろしくお願いします。

「正統派読書ブログ」(自称)らしく、今年を始めてみました。


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2007年11月01日

“イニシエーション・ラブ”

乾くるみ「イニシエーション・ラブ」です。

ミステリーです。

なんでも、「必ず2度読みたくなる」驚愕のミステリーと、発売当初話題になったとか?

発売は2004年。

知らなかったわたしは、つい1ヶ月前まで書店勤務・・・・。

ミステリー。

わたしはミステリーは苦手です。

いや、西村京太郎大先生や松本清張大先生とかは読みましたけど。

最近のミステリーは、範囲が広すぎて何がなんだかよくわかりません。

ミステリー好きな人はきっと「ミステリー脳」を持っているんだと思います。

で、わたしは「ミステリー脳」を持っていない。

「名探偵コナン」ですら苦手なわたしです。



で、この本を読んだのは、ミステリーが苦手なわたしでさえも「2度読みたくなる」のか??という実験でした。

結果。

「ミステリー脳」を持ってないゆえに、トリックに全く気がつかず、三度目にして

「すべてを勘ぐりながら読む」

方法でやっと納得したワケです。←短い作品だからこそできる。

ただ、噂の

「最後の2行」

でギョッとする、ということは1回目からなかったです。

わたしは本を読むとき、一度見開きページ全体を眺めてから、読むのです。

だから、見開いて

「うお!きた!!」

となったのです。

それにしても、背中がかゆい作品でした。

著者は静岡出身の方で、舞台が静岡です。

1980年代の静岡で若い2人が恋愛する物語です。

「たっくん」「マユ」って呼び合っているだけでかゆいのに、舞台が静岡(おもに静岡市)!!

青葉公園、呉服町、新静岡センター、静岡丸井、地元老舗書店が3軒(もちろんわたしの勤めていた会社含む)、ターミナルホテル、静波海岸、安倍川から西を川向こうと呼ぶ、・・・・。

当時の静岡にはパルコも109も無い・・・。

静岡って娯楽が少ないんですよ。

だから恋愛もこじんまりした地味な付き合い方になる。←結果、さっさと結婚する。これは本当。

静岡県民、恥ずかしいったらありゃしない。

しかもセリフに「方言」が入っているが、わたし県民ゆえに「方言」と「標準語」の区別がつかない。

この本を読まれた静岡県民以外の方々、特に首都圏の方々なんて、「ピュア?n?[?g?????i?????n?[?g?j」とカン違いなさるんでしょうな〜。

かゆい。

かゆいといえば、地名に丸子(マリコ)が登場して、「とろろ」が苦手なわたしは余計にかゆく・・・。←意味不明っすね。

わたし、もう、延々と若者2人の恋愛読まされて、「これ、マジでミステリーかいな??」と思ったですよ。

ミステリーも苦手だが「恋愛小説」はもっと苦手です。

どんでん返しがくるのがラストだから・・・・。

「二度読む」というよりも「確認作業」です。

三度も確認すれば、最初の数ページでチェック箇所もわかるようになります。

っつかわたし、ほんとに頭悪いわ。

この作品のネタバレサイトってたくさん存在するんですね。

もちろん検索しました。

「そこまで読み解くか!!!」

と驚愕しました。そっちのほうに。

で、「ミステリーって読者を選ぶなぁ〜」と感じたのです。

わたし、選ばれなかった人。

で、「イニシエーション」って「通過儀礼」って意味ですが、誰もがこんなこと通過しているとは思いませんよ。

でも、よくあることだな、とは思いました。


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2007年10月16日

“愛人”

マルグリット・デュラス「愛人」です。

L'AMANTです。

テレサ・テンではありません。

マルグリット・デュラスです。

映画が見たいな〜と思ったんですよ。
公開当時見ましてね。
映画、ヒットしました。
R指定だったんですけどね、R指定の必要なんてない、と思ってます。

もう一度見たくても、レンタル、近くにないんですよ・・・・(田舎ってつらい)。

少しでも雰囲気に浸りたかったので、原作を借りてきました。

この原作、以前も読んだことがあるんですけれど、文章が難解です。

ただ、ストーリーは単純です。

この作品は、もとは「写真集」の企画だったらしいのです。
その写真を探したり、排列を考えているうちに、この「愛人」という作品になったそうです。

仏領ベトナムで少女時代をすごした、著者の自伝的小説です。


この表紙の写真は著者・デュラスの若きころ。

18歳でわたしは年老いた。

メコン河の渡し舟の上で、15歳の少女は華僑の青年と出会う。

黒塗りのリムジンに乗った金持ちの男。

やがて少女は男と関係を持ち、植民地における白人の最下層に陥った家族の暮らしの金銭的な援助を受けるようになる。

あなたがわたしを愛していないほうがいいわ。

こちらDVD↓。

原作の表紙のデュラスと似てますよね。ジェーン・マーチ。

主演のジェーン・マーチがすごく綺麗な娘で印象に残っています。

初登場のシーン。

男ものの帽子をかぶり、きっちりとした三つ編みのおさげ。
金ラメのハイヒールに、ノースリーブの絹のドレスにベルト。

その姿がひじょうに美しかったのです。

その格好で「カツッ」と船の手すりに足をかけるんですよ。

少女をリムジンの中から見つめる上品な男。

映像全体が美しかった。

どことなくセピアっぽい画面と、植民地を感じさせる埃っぽい空気と光。

少女の寮のベッドをくぎる白いカーテンがはためく様。

原作を読むと、映画のシーンがよみがえります。


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2007年10月10日

“恐るべき子供たち”

コクトーの「恐るべき子供たち」です。

古典名作っていうものは「若いうち」(中学生くらい)に読んだほうがためになる、と勝手に思っております。

頭が柔らかくて、感受性豊かなうちに読んでおいたほうがいい。ついでに長文を読める気力と体力あるうちに。

とかなんとか言いながら、わたしはあんまり読んでないんですけど。

宮沢賢治作品とケストナー作品は叔父(父の一番下の弟)が買ってくれたので読んでました。

あと中学生のときに読んだ名作っていうと「あすなろ物語」(井上靖)、「車輪の下」(ヘルマン・ヘッセ)、「老人と海」(ヘミングウェイ)、「点と線」(松本清張)。←清張は入れてもいいよな〜。
ここらへん、印象的。
どれも、読んだのが中学1年生。
「点と線」(もとから家にあった)以外は中学への入学式前に母が買ってきたものです。
中学生に「老いと孤独」が理解できたか?というと微妙。
「車輪の下」は、神学校の同級生同士(男)でキスシーンがあり、「おいおい、いいのかよ!?」と心の中でツッコミ入れつつ・・・。

ま、中学生のときなんて自分で本は買いませんでしたな。

中学2年生のときに、友人が「アンナ・カレーニナ」を図書室で借りたんです。
借りた理由が、「自分の前に好きな先輩(男)が借りていたから」
本の後の「図書カード」に名前が並ぶでしょ。それで。
見るからに分厚い上・中・下の三冊にビビったものでした。
「恋の力」って偉大だと思った。
それにしても「アンナ・カレーニナ」読む中三男子って・・・何者!?
つい最近、家の本棚で「アンナ・カレーニナ」発見。←母の。
上・中・下の分厚さに食指動かず・・・ダメな大人・・・。

ま、あれだ。
「古典名作」が敬遠されるのは「訳」に原因があること多し。
とっつきにくい。

そんなわけで「光文社古典新訳文庫」は好評のようです。

それで、購入したのがこちら↓。
「恐るべき子供たち」


憧れの同級生ダルジュロスに雪玉を投げつけられ、重症を負った14才のポール。
ポールを家まで送ったのは、ポールの「弱さ」に引きつけられ、正義感から行動する友人のジェラール。
ポールの家には病の母と、ポールの2歳上の姉エリザベート。
狭い家、一つの部屋に暮らす姉弟。
やがて2人の母が死に、姉弟は子供たちだけで暮らすこととなる。
その姉弟に惹かれるジェラール。

エリザベートはやがて、外で働くようになり、ダルジュロスそっくりの少女アガートと出会う。

エリザベートが結婚した相手は事故で亡くなり、4人の子供たちは広い屋敷で、一つの部屋で暮らすようになる。

やがて4人の愛情の均衡は崩れ、悲劇へと向かう。

この作品の諸悪の根源(・・・)でありもっとも魅力的な少女・エリザベート。
彼女は弟ポールを愛している。
彼女は自分の愛が叶えられるはずのないものであることを理解している。
しかし、ポールが他人に愛を向けるのは我慢ならない。
エリザベートは作品の後半では20歳過ぎているはずですが、まったく、彼女は「少女」です。
成熟することを恐れ、感情のまま突き進む。

「少女」の残酷さで計画を運び、実行する。

そういうときの彼女は一番美しく、活き活きとしています。

友達にはいて欲しくありませんが。

エリザベートの企みから、最後の悲劇までは、ものすごいスピード感です。
一気に流れるようにストーリーが進みます。
そのスピードはエリザベートの感情のスピードだと思うのです。

惜しいな〜。

やっぱり、「少女」のうちに読んでおくべき作品だったかもしれません。

それにしても、憧れの少年に似た少女を愛するとかって・・・フランスっぽいですね〜。

「風木」読みたくなってきた。


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2007年10月06日

“犯人に告ぐ”

雫井脩介著「犯人に告ぐ」です。

映画「犯人に告ぐ」は、10月27日(土)より全国順次ロードショー。

主演は豊川悦司氏です。

ブログパーツも貼ってみる。


幼い男児ばかりが誘拐され殺される事件が多発した川崎市。

なかなか解決の糸口をつかめない神奈川県警はついに、テレビでの「情報提供」を呼びかけることとなる。

無差別連続殺人・劇場型犯罪に対抗するのは「劇場型捜査」

ニュース番組に生出演する警視に選ばれたのは

巻島史彦。

彼は6年前、神奈川県警において、致命的なミスを犯し、マスコミに叩かれ、閑職に追いやられていた。

すべてをかけて、彼はテレビから犯人に呼びかける。

「犯人に告ぐ、今夜は震えて眠れ」

【文庫版】「犯人に告ぐ」↓。


2004年週刊文春ミステリーベストテン第1位。
2005年大藪春彦賞受賞。

主人公の巻島史彦は51歳。

肩まで髪を伸ばした異色の警視。

視聴者からの非難の声。
被害者の家族たちの不満の声。

それらを一身に背負い、彼は、この事件にかける。

その裏で、私情を挟み、事件解決を妨害する身内あり。

あえて悪役をかぶり、彼が最後の呼びかけをする。

果たして犯人は!?

そして巻島に降りかかる事故!!

とてもボリュームのある作品です。

送られてくる膨大な文書のなかに、犯人のものと思われる文書がひとつだけある。

それをもとにして、またテレビから呼びかける。

ミステリーが苦手なわたしにも、すんなりと読めました。

テンポがいいというんでしょうか?

テレビで犯人への呼びかけ、とか「映画化」には向いているんじゃないかな?思います。

豊川悦司さん、おいくつでしたっけ?
51歳で、孫のいる役なんですよ。


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2007年09月13日

“作家の手紙”手紙の書き方は文章のプロに学べ!!

「作家の手紙」です。

執筆者は総勢36名。

有栖川有栖・伊藤たかみ・中村うさぎ・歌野晶午・角田光代・菊池秀行・五條瑛、などなどなど。



別離の手紙・恋の手紙・断りの手紙・ファンレター・頼みごとの手紙、など、

悩んだときは文章のプロをお手本に!

という本です。

しかし・・・滅多にないようなシチュエーションばかりです。

中村うさぎ「タイプだと思った相手に交際を申し込む手紙」

これはまだ、有り、だと思う。

でも

菊池秀行「霧の流れる何処かの都市(きみ)へ」

は・・・新宿に手紙を書きたくなるのは菊池秀行氏だけだと思います。

さらに

盛田隆二「読者に交際を申し込まれたが、事情があり、それを断る手紙」

は、切ない少年の恋心を断る手紙ですが・・・こんな事態に陥る作家さんがいるとは思えず・・・。

五條瑛「エイリアンさまへの手紙」

は完全にファンレターですが、相手があの「エイリアン」←映画の!

拝啓 エイリアンさま 

ではじまるあまりにも熱狂的なファンぶりに、ちょっと引きます。

この人、「大藪春彦賞」を受賞している人ですが、「エイリアン」が好きなんだ・・・。

歌野晶午「亡き兄を送る手紙」

15年前に事件に巻き込まれ亡くなった兄への手紙で、無念の手紙かと思いきや・・・!!

手紙そのものがショート・ショートになっています。

作家さんはやっぱり文章が上手だな〜。

さすがプロだよな〜。

枡野浩一「現住所もわからない漫画家の元妻へ、「子どもに会わせてほしい」と伝える手紙

は、本物でした・・・・。


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2007年09月06日

“月魚”

三浦しをん著「月魚」です。

老舗の古書店「無窮堂」の若き主・本田真志喜と、卸専門の古本屋を営む瀬名垣太一。

小学生の時に出合い友好を深めていた二人。

しかし、ある夏の日、二人の家族を巻き込む“事件”を瀬名垣が起こした。

悪意のない、よかれと思ってしたことだった。

それ以来、二人は“親友”ともいえない微妙な関係を続けている。



まず、古本業界の仕組みがわかってびっくり!!

BOOKなオフとは違いますよ。

わたしは神田の古書街とかに足を踏み入れたことがないのです。←かっぱお姉さまは常連です。

名古屋の鶴舞の古書街は1.2回行ったんですけど。←愛知勤労会館でのライブついでである。

古書組合とか「市」とかね。とても詳しく書いてあるんですよ。

取材したんだろうけど、これはきっと著者・三浦氏が好きなんだろうな〜。

好きな世界で、神田の常連なんだろうな〜と思いました。

古書店のシーンとした、冷たい、独特の空気。

本たちがひっそりと眠っているような、でもどこかでしゃべっているような雰囲気。

二人は、「事件」と向かいあい、「再生」へと一歩足を進める。

瀬名垣と真喜志の「仲」については、とくに勘ぐらずに読めました。

が、「夢のような幸福」を読んでしまった後では、「もしかしてこれは計算??」などと後で思ってしまって、しまったー!!という感じです。

二人のこれからは水底にあるんだそうで。

わたしは、自分の読んだことのない作家さんの作品を読むのに、結構戸惑うタイプなのですが、三浦しをん作品はこれで読める!と思いました。

こういうの、好きな友人に勧めとこう、と思います。


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“小説家”

勝目梓著「小説家」です。

勝目梓氏といえば「バイオレンスロマン」の第一人者。

現在も精力的に執筆活動を続けるベテランです。

その勝目梓氏の「自伝的小説」です。



東京で生まれ、父と母の別離によって鹿児島に移り、昭和二十年に空襲を受け祖父母が焼死。

18歳で炭鉱で働き始め、同僚の死を経験。

やがて、労働組合の代議員に選出され、機関紙の編集をするようになる。

はじめて知った文章を作ることの面白さ。

結婚をし、一女をもうけ、養鶏をはじめながらも、読書に夢中になり、毎日文章を書き、その勤勉さがやがて、穏やかな普通の生活を壊すようになる。

家族を捨てて、別の女性と上京。

文藝同人「文藝首都」に入会し、投稿作品を書き、何人もの会員と知り合い、とくに中上健次の才能に対しては尊敬と羨望の眼差しを注ぎ、彼自身、芥川賞直木賞候補に1回づつノミネートされながらも、自分には文学的地平が開けないのでは、という苦悩がやがて訪れる。

そして森敦との出会いが、自分の目指す先に自分の出る幕がないことを思い知らされることとなる。

その間の苦悩を紛らわすかのように女性遍歴を重ね、すべてを清算するために、純文学から「娯楽小説」への転向を決意する。

例えどんなものでも「小説」を書きたい。
セックスと暴力にテーマを定め、娯楽系雑誌への投稿。

その時40歳。

それからの猛スピードの仕事量は圧巻です。

月一千枚の原稿をこなし、うつ病になり、回復するとまた執筆活動。

執筆者としての誇り。凄み。

70歳を越える今でも、第一線で活躍する作家の執筆への執念、プロ魂を見せ付けられる一冊です。



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2007年06月26日

“本のなかの少女たち”

津島佑子著「本のなかの少女たち」です。

以前この本を持っていたのですよ。
その頃のわたしはまだ「少女」だった・・・・。



うーん画像が無いよう。

この本は「名作」と言われる作品の「少女たち」について書かれたものです。
が、あくまでも選んだのは著者・津島佑子が共鳴できる「少女たち」についてであって、ありとあらゆるタイプの「少女たち」が登場するわけではありません。

むしろ偏ってます。

「少女」というと思い出すのは小学校5、6年の頃。

突然、周りの女の子たちの自分との「話」が合わなくなってしまったことがあります。
急に周りの女の子たちがマセてきましてね。
置いて行かれました。

わたしは自分が女の子だと思われるのが「イヤ!」な感じがして、乱暴な口を利き、髪の毛を短くしていました。
スカートも穿かなかった。
急に伸びた身長もイヤで、身体の変化のイヤだった。

彼女たちがどうしてそんなに急に大人(?)になれるのか、不思議だった。
しかもみんな一緒のことするの!!
服も似たようなの着たがるし!!

中学生くらいまで引きずってましたが、高校が女子高だったせいか、知らない間にそんなこと忘れましたよ。

話が合わないのは当たり前ですな〜。
わたしはアイドルに熱中しなかったし(当時は)、少女マンガも読まなかったし、下ネタは大嫌い(当時は)だったもの。

同級生の女の子にかなりコンプレックス持ってました。

当時、近くの席のガキに

「○○(わたし)って何も一番なものって無いのな。

生きている意味ないじゃん」


と言われて、かなり絶望したことがありました。

で、わたしは理科と国語と社会の成績が良かったのですが、「理科は○○ちゃんのほう成績が良い」「国語は○○ちゃんのほうが成績が良い」とかいちいち言われた。

その○○ちゃんとかがクラスで目立つ女の子たちだった。

わたしは誰よりも何一つ得意なものがなくて(いや何も出来なかったわけではなく)、総合的な成績はその男の子よりかなり良かったハズなのですが、同級生の女の子たちに何故か敗北感。

で、泣いた。←「帰りの会」の真っ最中。

次の日、ズル休みしたような覚えが・・・。←当時からヘタレ。

今、思えば「徳川家康全巻読破」を自慢すれば良かったじゃんよ。←当時から戦国好き。しかも少女の自慢する内容では無い。

とりあえず、そのガキには「同窓会とかあったら、『復讐』としてビールを頭からかけてやろう」と決めた12歳のわたし。←当時から陰険。

そして今もそんなことを覚えているわたし。←陰険。

それを友人(当時同じクラス)に言ったら「陰険」と・・・。

当時のわたしには12歳なりのプライドがあって、自分の「無意味さ」なんて教えて欲しくなかったのだ。

いや、わたしは本当は「無意味」ではなかったと思うけど、その頃はそこまで頭が回らなかったのだから仕方ない。

なんてことをこの本に紹介してある『新ムーシェット物語』の「ムーシェット」と言う少女の項を見ると思い出す。

「自分の不幸が恥ずかしい」と気がついてしまった少女。

でもその『新ムーシェット物語』を読んだことがない。←・・・ダメじゃん。

古典の翻訳ものは読みづらい。
光文社が「古典新訳文庫」というものを発行したので、「本のなかの少女たち」に紹介されている作品も読みやすくなりました。

とりあえず読んだ。↓。しかも買った。

「恐るべき子供たち」のエリザベートはかなり気になっていました。





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2007年05月26日

“闇鏡”

堀川アサコ著「闇鏡」です。

第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作です。

良作作家を世に送り続ける日本ファンタジーノベル大賞とは?→こちらです。

著者・堀川アサコ氏は

『室町時代の風俗文化の魅力に魅了され、時代小説の執筆をはじめた』

とか。

室町・・・・珍しいかも。



京随一の遊女が惨殺された。
犯人として捕らえられたのは『女装癖』のある陰陽師。
現場には半月前に死んだはずの女がいたという。


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2006年11月18日

銀河鉄道は何両編成??“銀河鉄道の夜探検ブック”

銀河鉄道・・・・・といえば『夜』
銀河鉄道・・・・・といえば『999』

ちょっと前に松本御大とマッ○ーの間でモメゴトがありましたが、アレ、どうなったんでしょうね?
まぁ、私は当然、ケミ○トリーの歌詞なんて知らなかったです。
で、そのケミス○リーの歌詞が、そのモメゴトで紹介されて、

「あ!!999そっくり!!」

と思ったのです。

アレだよ、999のあの「時間は〜」は私、三十代の常識だと思っていましたよ。

違ったんですね・・・?????[???i???j?????[???i???j

いろいろなブログで「知らない」と書かれていて・・・・ああ、私がオタだからか・・・・と。

ともかく『銀河鉄道999』は私にとって大切な大好きなアニメです。

ケ○ストリーの歌詞はきっとすぐに忘れ去られてしまう。←注・あの作詞作曲をしたヒトを私は嫌いではない。むしろ好きだ。生に行くくらい。でも『999』は知っているだろう。つか知らないとは言わせんぞ、三十代。パ○りではないけれど似てしまうことだってあるよ。

『999』は永遠に生きる作品なんだから、御大、ご機嫌治してください。

そして私にとってとても大切な作品が『銀河鉄道の夜』

父方の叔父が、若き頃、いつも帰省のたびに私と妹に『本』を買ってきてくれました。
叔父の思想からか、ケストナーや宮沢賢治が多かったです。
そのなかの一冊が『銀河鉄道の夜』です。
ただね、この本をもらったとき小学生だった私にはちょっと難しかったのですよ。
そのまま、本は本棚へ。
引越しのドサクサにまぎれてその本は行方不明。
ちゃんと読んだのは高校生になって文庫を自分で買ってから、でした。

いい話だなぁ。キレイな話だなぁ。切ない哀しい話だなぁ。

と、買ってもらったばかりの頃、ちゃんと読まなかったことを反省し、買ってきてくれた叔父に心の中であやまり、感謝したのでした。

で、かなり宮沢賢治の作品が好きなのですが、『銀河鉄道の夜』は特別好き!

それで読んだのがこの本です。



著者・畑山博氏は昭和47年に『いつか汽笛を鳴らして』で第67回芥川賞を受賞しています。

かなりの宮沢賢治スキー。
宮沢賢治関連の著作をたくさん書いておられる。
その追求したくなる気持ち、なんかわかる。

オタだからか??
←オタの共鳴か!?

ともかくこの本は『銀河鉄道の夜』を読みこみ読みこみ、その細部や秘密を徹底的に推理するという本なのです。

銀河鉄道は何両編成か?

ジョバンニは何号車何番にいたか?

レールは何で出来ているか?

機関士はどんな服装をしていたか?

銀河鉄道のトイレ

などなどなど・・・。

賢治が最愛の妹を亡くした、悲嘆の底で書かれた『銀河鉄道の夜』

天空を走る列車。

汽笛を鳴らし、列車は走る。

今、万感の想いをこめて・・・アレ??

『銀河鉄道の夜』が大好きな方にオススメです。


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2006年11月05日

“ファースト・プライオリティー”

FIRST PRIORITY=最優先事項。

あなたにとって最優先事項とはなんですか?

「何の資格もないし、何の資格をとったらいいのかもわからないし、趣味もないし、何の得意もないし、何が大切なのかもわからない。このままじゃ、私、どうしよう・・・。」

↑みたいなメールをですね、以前に友人に送りました。
欝だよ・・欝。バリバリ欝。
送ったときは本人、本気で悩んでおりました。
送られた友人はそりゃ、迷惑だったでしょう。

だって、私もヤだもん。そんなメール。←おい???????i?{???j???????i?{???j

すまん、友よ・・・。

ちなみに送った友人は、小学校のとき見た映画で「〜〜〜になる!」と決意し、本当にその職についてしまった、という人です。
小学校の5年生くらいからそう言ってました。
彼女は「決意」したその日から、その『目標』にめがけて全力だったのだろう、と思います。

まさに「最優先事項」。

彼女だからこそ、こんなメールを送れたのですが・・・。
あ〜でも、送った内容には激しく後悔・・・。

や、あんときはマジすまん。君の返信に泣いた。ありがたかった。

↑99.9%、読んでないだろうけど。
友人の日常をPCで読むのに違和感あるそうです。
私も彼女に読まれてたら、ちとやりにくいしな。

実は今でもわからない。
それでもいーや、と思います。

で、こちらの本です。



31歳になってはじめて気がつく、自分の最優先事項。
人からみたら些細なことでも、自分にとっては譲れないもの。
時間だったり、嗜好品だったり、考え方、仕事、人様々。

31歳、31編の短編集です。

『偏屈』→世間話と社交が嫌いなだけなのに、職場では「偏屈で人嫌い」といわれている主人公。

『薬』→とくに病気というほどではないので市販の薬を常用している主人公。ある日、市販の薬が一切飲めない、という可能性もあることに気づく。

『社蓄』→自分が給料泥棒だと意識しながらも、その職場に居場所を見つけた主人公。妻子のため、スキルアップを図るため、に働いている人が聞いたら卒倒しそうだ、と思いながら。

すべて8Pで書かれています。
オチは意外性と爽快感をかんじるものが多いです。

恐ろしいものもありますが・・・こわ。

自分の最優先事項はわかりません。
いずれわかるかもしれないし、一生わからないかもしれない。

そんなものだと思います。


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2006年10月29日

“ケインとアベル”

ジェフリー・アーチャー「ケインとアベル」。
J・アーチャーは政治家だったり作家だったりする人です。
一代貴族(ロード)の称号をもっています。
何年か前に偽証罪で投獄されたりしてます。

もともと下院議員時代に詐欺にあい、無一文になり借金を返すために書かれた小説が処女作「百万ドルを取り返せ!」
これが大ヒットして借金を清算。

『ケインとアベル』は彼の第三作目にして代表作に当たります。
これもまた大ヒット!!
彼にとって初めての大河ロマンです。
『ケインとアベル』というタイトルを一見してわかるように、聖書の『カインとアベル』を意識したことは明らかです。
しかし、ケインとは登場人物『ウィリアム・ケイン』の姓であることから、視覚的効果を狙ったタイトルということですね。

原題は『KANE&ABEL』

「収容所小説」「企業内幕ストーリー」「戦争文学」「復讐物語」そして「ロミオとジュリエット」といった要素を含む小説です。



もう売る気マンマンだったと!!



アメリカの支配階級WASPの銀行一家に生まれたウィリアム・ケインと、私生児として生まれたポーランド移民の(おまけに実の父は男爵)アベル・ロスノフスキの交差する運命と戦い。
お互いの息子リチャード(ケインの息子)とフロレンティナ(アベルの娘)が恋に落ち駆け落ちするなど、コレでもか!!コレでもか!!!とサービス満点なです。

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2006年09月08日

あなたに花束を。“われも恋う”

最近、お花屋さんで「われもこう」を見かけるようになりました。
「われもこう」が店先に出たら、この本のことを書こうと思っていました。
本日、確認済み。
こちら↓。



堀田あけみさんの本です。
堀田あけみ→こちら。
当時、高校在学中に「1980アイコ十六歳」で文藝賞を受賞してかなり話題になりましたね。
え!?何年前!?

それにしても、この本の画像がまたもやどこにもありません。
名倉靖博氏のキレイな淡いピンクの装丁です。
名倉靖博→こちら。
アニメーター兼イラストレーターでいらっしゃいます。


大学三年生の徹は、凛とした清楚な、下級生の林有紀子に片思い中。
彼女が「花屋でバイトをしてみたい」と言ったのを聞いて、バイト募集中の花屋を覗いてみたら、なりゆきで自分がその花屋でバイトすることになってしまう。
その花屋で見かけた「真紅の薔薇」を彼女にプレゼントするために。

花を買いにくる、お客さんたちのやりとりと、有紀子との関係の進展が、六編の短編になっています。

■両手一杯にかすみ草

■桔梗のかなしみ

■われもこう

■クリスマスの花

■グッバイ ナルシス

■SO Many Roses 〜たくさんの薔薇の花〜

本のタイトル「われも恋う」は第三章から。

吾木香、または「吾亦紅」。
地味な花。←私が一番好きな花。
「私も又、紅」
別な解釈で
「私も又、恋をしています」

花屋はいろんな人の想いが集う場所、と書かれています。
主人公の徹は有紀子が好き。
その有紀子の恋人がピンクの薔薇の花束を買いに来る。もちろん有紀子の誕生日へのプレゼント。
その男性に恋する女性が、その男性へ送るために桔梗の花を買いに来る。

徹と有紀子は恋人同士になります。
徹はひとめぼれした「真紅の薔薇」を彼女に送ることができるのでしょうか??

両手一杯抱えるほどの薔薇の花束、約6万円!

この話冒頭で「女は花をプレゼントしてもらうのが好き」という話題が出てきます。
結局は心のこもった花束なら嬉しい。
好きな男の子からだとなお嬉しい。
と、会話は進みます。

主人公の徹は「男が女に花なんか贈れるもんけぇ」主義だったのに、「真紅の薔薇」を見て、「送ってやろうじゃないか」となってしまうのです。

今日はいつもお世話になっている方のお誕生日。
遠く離れているので(笑)、花はプレゼントできませんが(あ、今ならどこへでも配送可だ・・・)、花束がわりに、この記事をささげます。


お誕生日、おめでとうございます。?v???[???g




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2006年09月02日

世にも醜い源氏物語“源氏物語人殺し絵巻”

今日は仕事だったはずですが、急に休みになりました。
いや、もともと休みだったのに、私だけ知らされていませんでした。
なんやねん?その扱い。
ち、こんなことなら「玉木宏」を見に行けば・・・。
って起きたら昼でした。

時間が出来たなら、さっさと記事書くべし。
図書館の返却日がせまってるぞ。
貧乏性なので、読んだ本は書いておかないと、もったいないような気がするのです。

グロなタイトルに惹かれて読んだのはこちら↓。



「源氏物語人殺し絵巻」

しかし画像がないよ。
いつもコレだ。
おっと文藝春秋にも画像なし。

こちら、第四回「サントリーミステリー大賞」読者賞受賞作。
サントリーミステリー大賞とは?→こちら。

「源氏物語」とタイトルについてなければ読まなかったでしょう。
ミステリー苦手なんです。

「源氏物語」舞台だと、最初から人物像や、時代背景はわかっているので読みやすいのです。


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2006年08月31日

最後につかむ幸せは。“王朝懶夢譚”

田辺聖子さんの本は大好きです。
古典もののほうが好きかな?
田辺聖子さんは、ものすごい古典愛好者ですからね。

で、この本。



内大臣の姫。月冴姫。その名前のように美しい姫。10代。
しかし、入内するはずだった東宮は急病で死去。
3歳の親王が東宮となり、月冴姫の入内は10年後になった。

藤原氏はよくこういう無茶します。

10年も屋敷の中で青春を過ごすなんて耐えられないわ!!

やんごとなき姫君は滅多に屋敷の外どころか、部屋の外に出られません。

ところが月冴姫は行動派。
いつのまにか天狗の外道丸と友達になり、外の世界に目を向けるのです。
出てくる、出てくる、あやしげな妖怪たち。
ま、ちっとも姫は恐ろしがったりしませんが。

僧侶に恋したり、医者の卵に恋されたり、親王に恋したり・・・。
ついでに盗賊に誘拐されたり。

ユーモラスに展開する短編集で構成され、悲壮感はまったくありません。

そして最後に姫がつかむ幸せとは??

この人と生きよう。この人の住む場所で一緒に暮らそう。

そういう相手と出会うのです。
身分や血筋はまったく関係なし。
それって育ちがいいゆえに、卑屈さがないせいだと思います。

田辺聖子さんは自分なりの平安王朝を書きたかったのだと思います。
屋敷内部とか、京の都とか、場末の様子とか、とても詳しいです。
しかも、わかりやすい。

コレ大事。

文章がすっと入ってきます。

オススメです。

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さて、寝るか。
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2006年08月22日

「あたしと、心中しない?」“いちご同盟”

三田誠広「いちご白書」です

この記事は昨年8月22日に更新したものを加筆修正したものです。

「あたしと、心中しない?」

北沢良一は、上原直美にそう言われた。

「あたしと、心中しない?」

懐かしいですな〜。

「いちご同盟」

いや、私がコレを読んだときは、すでに立派な大人になってましたけどね。
この本、教科書に載っているそうですね。
教科書に載る部分ってつまらない部分が多くて、小説全部を読む機会をかえって失うことがありますよね。

もったいない。

一行目にラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』が出てきて、読む気になったのを覚えています。
私はピアノは弾けないけど。
あ、吹奏楽部で演奏したことあったけど、この曲トロンボーンの出番ないんだもん。
1曲まるまる休み。

野球少年とピアノ少年と、病の少女との夏の物語。
「いちご」は15歳の15です。

もう助かる見込みのない病の少女。
その幼馴染の有名高にスカウトされるほどの野球少年。
進学で揺れる音楽の道を目指す、ちょっとだけ死に憧れる少年。

かかわりのなさそうな少年少女が知り合い、やがて少女と主人公は恋に落ちる。

未来のない恋だ。

少女はついに亡くなる

「あなたが好き。死ぬほど好き」

という言葉を残して。

ずっと彼女を見守ってきた野球少年は、彼女への想いを主人公に託す。

同じ思い出を持つ、ということ。
それは、思い出を通じて、相手を思うということ。

私は、最後のほうに語られる、直美のお父さんの語りが好きです。

〜わたしと妻はどこか希薄な関係だった。

しかし直美が生まれてきてから、わたし達は変わった。

これからは娘を亡くした妻の哀しみを理解し、妻はわたしの哀しみを理解し、お互い支え生きていける。

すべて直美のおかげだった〜

いちご同盟いちご同盟
販売元 : Amazon.co.jp 本
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[タイトル] いちご同盟
[著者] 三田 誠広
[種類] 文庫
[発売日] 1991-10
[出版社] 集英社

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