2008年03月21日

“煩悩夢幻”

瀬戸内晴美著「煩悩夢幻」です。

母が瀬戸内晴美・寂聴ファンで、我が家には古い文庫本がたくさんあるのです。

この本は、ネタにしようと思って自分の部屋の本棚に突っ込んでおいたのですが、いい加減、片付けようと思いまして引っ張り出してきました。

古い作品なので画像がないよ。
なんてったって瀬戸内「晴美」時代の作品なのだから古い。
私の生まれるかなり前~の作品。



筆をとれば、ただその人への恋の歌がほとばしった。

和歌史上最大の女流歌人・和泉式部の「和泉式部日記」を小説化したものです。

彼女のことについて書いてある本にはみな書いてあります。
彼女はこと和歌にかけては「天才」だと。

紫式部は「紫式部日記」で彼女の才能に嫉妬しているかのようなことを書いています。

~彼女は品行上、常道を逸した面がある。
口にまかせて歌う即興の歌などに、必ず一点は魅力的なところをいれてある。
口先だけですらすらといくらでも歌が読める人なんでしょう
とくに私が引け目を感じる方ではありません~

あの、「源氏物語」の作者。
まさしく誰よりも天才の紫式部がちょっといじわるに批評せずにはいられなかった人物。

男にもてる女は憎い。

男にもてて、才能もある女はもっと憎い。


ってトコロでしょうか?

彼女は同性から嫌われ、異性から好かれる典型的な女性だったのかもしれません。

しかし、「才能」があった。

真の才能のあるものは、その人間の「才能」を認めざるを得ない。

というわけで、紫式部はともかく、当時の才媛、赤染衛門や清少納言とは仲が良かったらしく、交流もあったらしいのです。

男(一流)にもてて、ごく少数だけど、自分の「才能」を認めてくれる、趣味の合う「才能」のある人たちと交流がもてる。

女性が家から外に出ることがなかった平安時代に、それは実は恵まれた境遇のようにも思えます。

受領階級の橘道貞と結婚し、一女(小式部内侍)をもうけ、幸せな家庭の主婦だった彼女。

その彼女が世間を騒がす大恋愛スキャンダルを起こします。

相手は冷泉帝第三皇子・為尊親王。←当時、美男子と大評判なプリンス。四歳ほど年下。

結果、夫道貞とは離別。
両親からは勘当され・・・。

しかし、二年後為尊親王は亡くなり、その後さらなる大スキャンダルが!!

相手は為尊親王の弟、敦道親王(冷泉帝第四皇子)。←兄・為尊親王と同じく美貌のプリンス。八歳ほど年下。

敦道親王の正妃が激怒して実家に帰ってしまい、非難は二人に集中します。

しかし、またもや敦道親王に先立たれてしまいます。

彼女は「うかれ女」と蔑まれますが、その「才能」だけは誰もが認めずにはいられなかった。

藤原道長は彼女の才能を買い、自分の娘・中宮彰子の女房にします。

うーん・・・、こうやって書いていると、現代劇だとすんごいドロドロな愛憎劇になりそうなんですけど・・・・。

平安時代に起こったことだと考えると、「雅」な感じになるから不思議です。

彼女に言い寄った男たち。

どうも一流クラスは彼女の「才能」を愛し、受領クラスは彼女の美貌のみを愛し「才能」を理解していなかったように書かれています。

ま、ほんとのところどうだかは知りませんが。

彼女の相手にふさわしい階級の男たちが、真の彼女を愛せないのなら、彼女はやはり「幸せな結婚」「幸せな家庭」には向いてなかったのだなぁ、と思います。

彼女の愛した娘・小式部内侍は、母より先に若くして亡くなってしまいます。

しかし、彼女の「歌」は残った。娘の「歌」も残っている。

千年以上たってもまだ残っている。

生身の和泉式部は何をもって「幸せ」としたのかなぁ?とぼんやり考えます。

ああ、そうそう、この作品。

かなりエロティック。

でも「雅」。

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posted by くみ at 15:07| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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