2007年09月06日

“小説家”

勝目梓著「小説家」です。

勝目梓氏といえば「バイオレンスロマン」の第一人者。

現在も精力的に執筆活動を続けるベテランです。

その勝目梓氏の「自伝的小説」です。



東京で生まれ、父と母の別離によって鹿児島に移り、昭和二十年に空襲を受け祖父母が焼死。

18歳で炭鉱で働き始め、同僚の死を経験。

やがて、労働組合の代議員に選出され、機関紙の編集をするようになる。

はじめて知った文章を作ることの面白さ。

結婚をし、一女をもうけ、養鶏をはじめながらも、読書に夢中になり、毎日文章を書き、その勤勉さがやがて、穏やかな普通の生活を壊すようになる。

家族を捨てて、別の女性と上京。

文藝同人「文藝首都」に入会し、投稿作品を書き、何人もの会員と知り合い、とくに中上健次の才能に対しては尊敬と羨望の眼差しを注ぎ、彼自身、芥川賞直木賞候補に1回づつノミネートされながらも、自分には文学的地平が開けないのでは、という苦悩がやがて訪れる。

そして森敦との出会いが、自分の目指す先に自分の出る幕がないことを思い知らされることとなる。

その間の苦悩を紛らわすかのように女性遍歴を重ね、すべてを清算するために、純文学から「娯楽小説」への転向を決意する。

例えどんなものでも「小説」を書きたい。
セックスと暴力にテーマを定め、娯楽系雑誌への投稿。

その時40歳。

それからの猛スピードの仕事量は圧巻です。

月一千枚の原稿をこなし、うつ病になり、回復するとまた執筆活動。

執筆者としての誇り。凄み。

70歳を越える今でも、第一線で活躍する作家の執筆への執念、プロ魂を見せ付けられる一冊です。



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posted by くみ at 09:54| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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