2007年08月11日

“明智左馬助の恋”

戦国時代最大のミステリーを描いた「信長の棺」でデビューした、加藤廣氏の「明智左馬助の恋」です。

本能寺の変で、ついに見つからなかった「信長の遺体」を中心に物語を三方向から見た、「本能寺三部作」のラストです。

そういえば最近、「本能寺」跡で焼け瓦が見つかった、というニュースがありました。→こちら。

「信長の棺」→記事はこちらへ。

「秀吉の枷」→記事はこちらへ。

ときて

次は光秀がタイトルにくるのか?と思いきや

「明智左馬助」しかも「恋」

「恋」???

「信長の棺」の主人公は、信長の側近「太田牛一」

「秀吉の枷」は秀吉が主人公でしたが、「すべて」の謎を知っていたがため、一族郎党すべてを殺されるキーパーソンは「前野将右衛門長康」

今回は、主人公が「明智左馬助」だというのは知っていましたが、てっきりタイトルは

「光秀の~~~」

と思っていました。

で、「恋」???



「恋」でした。

「明智左馬助光春」と言う人は明智光秀の娘婿です。

光秀の長女は荒木村重の息子・村次のもとに輿入れしましたが、村重の謀反により、実家に帰されました。

その彼女を後妻として迎えたのです。

今作では彼女の名前は「綸」りん・(幼名を「さと」)としてあります。
他の作家さんの作品では彼女の名前は「倫」(「りん」または「とも」)となっていることが多いのですが、戦国時代の女性の名前は、実は正確にはわからないことが多いんですよね。


三宅弥平次(後の明智左馬助)は、夜分に坂本城の城主、主君・明智光秀に城に呼ばれた。

呼ばれた理由は

「荒木摂津守村重の謀反」

五十万石という破格の待遇で織田信長に召抱えられた村重。

その村重が謀反を起こした。

荒木家には光秀の長女・綸が輿入れしている。

手駒のなくなった信長の命によって光秀の娘たちは次々と他家へ輿入れさせられていた。

弥平次は主君・光秀の心痛を察し、また自分の心に痛みが走るのを感じた。

綸は、弥平次の幼馴染であり、かつての許婚であったのだ。


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荒木村重の謀反以降、生真面目な主君・光秀が追い詰められていく様を見守り、助ける明智左馬助。

光秀の競争相手は、同じく新参者と言われた羽柴秀吉。

光秀は「一番出世の夢」を捨てきれず、それでいて陽性な秀吉にコンプレックスを抱いている。

信長は彼を重く用いているつもりなのだが、言葉が足らず、光秀にいまいち伝わっていない。

それが佐馬助にはよくわかる。

この佐馬助が「いい男」に書かれすぎてます。

眉目秀麗。文武に長け、馬術の腕は超一流。律儀で器用。

不幸な出来事で、子どもを宿すことができなくなった綸をそっと迎え、それでいて側室一人持たない。

一家に一人欲しいくらいな「入り婿」です。

こういう男、どこかにいませんか??

それは置いておいて、加藤廣氏はもともとはビジネス書などを書いていた方だそうで「信長の棺」のときは、そういった印象を強く受けたのですが、今作では、その印象がまったく違っておりました。

読むならば、三作ぶっ通しで読むのがオススメです。

「信長の棺」は秀吉が亡くなってからの時間が多く、「秀吉の枷」は秀吉の死まで。

今作は時間軸にすると、一番古い年月が書かれています。

「信長の棺」で「信長」の遺体を葬った場に居た「明智左馬助光春」。

そのことを忘れると、今作、なかなか読み辛いです。

光秀は信長が「朝廷に対して不遜な態度」をとったため「本能寺の変」を起こした。

しかし信長は朝廷に対し、敬意をもって対処するつもりであった。

どこで話がもつれたのか?

光秀をそう行動させたのは誰か?

光秀の動きを知って、何故秀吉があのような手段を用いてしまったのか?

光秀は信長を殺すつもりではなかった。

何故、信長は死んだのか?

すべてがぐるりと一回りしました。

「勝者に悲哀を 敗者に美学を」

加藤廣氏は「秀吉の枷」でそうおしゃっていました。

勝者とは誰で、美学を貫いて死んだのは誰であったのか?

この作品には光秀の死が書かれていません。

死は最期、明智一族に訪れます。

明智一族の最期を指揮したのは明智左馬助。

坂本城の落城の際の彼の指揮は見事です。

彼が、あまりにも爽やかで、・・・・・。


著者・加藤氏は企業に勤めていらしゃったため、一部の歴史家・作家が自分の書いた「本能寺」のからくりに非難が集まったことをこうあとがきに書かれています。

「対案」を出せ、と。

ならば信長の遺体はどこにあったのだ!!と。

「対案のない反対こそ、新発想をつぶし、企業をだめにする根源だ」

と。

出版業界もそうですな~。対案を出せ!!

この作品、冬にドラマ化が決まったようですね。

タイトルは「敵は、本能寺にあり」だとか。

信長が「玉木宏」と・・・・玉さまに片思いしていた康豊に見えたらどうしよう。



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posted by くみ at 00:24| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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