2007年01月20日

“白昼堂々”

長野まゆみ著『白昼堂々』です。

え~、わたしの持っているものは1997年9月発行第一刷。
ってマジかよ・・・10年前・・・。

もともとは『上海少年』という短編集のなかの作品でした。
その短編に加筆され出版されたのが、この『白昼堂々』です。
長野まゆみさんは、初期は『少年』しか出てこない作品が多かったのですが、だんだんと女性が登場するようになり、女性が主人公のものも出版されました。
『上海少年』でも女性の視点の作品があります。
この『白昼堂々』にも女性は登場し、微妙に絡んできます。

『上海少年』のなかでも、この『白昼堂々』は人気があったようです。
シリーズ化(全4冊)され『凛一(りんいち)シリーズ』と言われています。

で、これが↓最初に発表された『上海少年』。

上海少年
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昭和30年~40年辺りが舞台の短編集。
(わーい!わたし、まだ生まれてないぞ!!)

で、↓が加筆修正し出版された『白昼堂々』です。
白昼堂々
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わたしはこのシリーズを全巻買ったヒトを4人知っている!←うち3人本屋・・・。

当時職場で同僚だったOさんってヒトと
“『上海少年』で一番面白かった話は?”
って話をしたんだ。で、
“表題作の『上海少年』と『白昼堂々』が面白いよね”
って二人とも言って。
それから『白昼堂々』が加筆されて発売されて、わたしは最初は買うのを迷っていて、で、Oさんが買ったっていうから感想きいたら

「ふっ。ってかんじ。」←注・当時まだ「腐女子」という言葉はない。

って返ってきて、購入を決めたんだった。
そしたら、この本の

“華道の家元を継ぐ少年とアメリカンフットボールのエースとの出会い”

というオビを見て、同僚Aが

「面白そうですね♪読み終わったら貸してください♪」

でイモヅル式に購入者がゾクゾクと。

ってそれが10年前かよ!?

あ、そこらのボーイズラブ(略してBL)とは違いますから!!

「文学だから!!」←当時、身内で使っていた言葉。

華道“天海地(たかち)流”の家元の孫、原岡凛一(はるおかりんいち)は、高等部への進級がかかっっていた期末考査を不意の発熱のため、受けることができなくなった。
意識のもどった彼に『親族会議』を開いた祖母の家元は驚くべき事実を告げられる。

なんと男子校の試験に従姉でひとつ年上の省子を出席させた、というのだ。

省子は、腰まであった黒髪を切って試験にもぐりこんだ、という。
そして凛一は省子に「交換条件」を持ちかけられる。

自分のかわりに学校(女子高)の言いつけの美術館の監視係の当番に行け。

その条件を飲んだ凛一のまえに、省子の男友達があらわれる。

氷川享介(ひかわきょうすけ)。

それが彼らの出会いだった。

文学です。

文章はどこまでも、静謐で上品。
1970年代の少し懐かしい雰囲気。

同性に惹かれてしまった凛一と、それに気がつきながらも否定せず、だからといって応えるわけでもない氷川。

恋心と友情の微妙な境目を真摯に描いた作品です。

主人公の凛一が好き、というわけでもないし、氷川も嫌いでもないけど、とくに好き、というわけでもない。

彼らに感情移入はできないのですが、ここで重要なのは凛一の従姉である省子。

たぶん、彼女がわたしたち読者の『目』になっていてくれるのだ、と思います。
凛一よりひとつ年上の彼女は、十代なかばにありがちな悩みを抱えています。

“自分が嫌い。女だからなのか、女が嫌いなのかわからないけど”

そんな彼女にとっては同性に好感がもてる凛一が不思議なのです。

わたしは、この作品はこの一冊で完結している、と思ってました。

まさか続くとは!?

『碧空』(あをぞら)へと続きます。

男性にはオススメしませんが、女性にはオススメです。
この本も美しい装幀です。

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posted by くみ at 00:16| 静岡 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(長野まゆみ) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「ふっ。ってかんじ」で、本を買う
嗚呼、腐女子の懐の深さよ…(詠み人知らず

ミュージシャンでも多いですが、純文学にしろ
作者の傾向と言うのでしょうか
「愛」を突き詰めて行くと、同性への愛も
範疇に入ってくるんですよね…。

まぁ…理解に苦しむ部分があるのですけど
ふ。って感じですな…。
Posted by zep at 2007年01月20日 09:19
zepさま

腐女子・・・というより「本ヲタ」は情報収集に余念が無いのです。

読書傾向が違っても、どこか好みが合うとお互いすすめあったりするのですよ・・・。

ああ、ここらへんは「腐女子」にもあてはまりますが。

でもこの作品は『文学』ですよ。『文学』。
そこらのBLとは違う『趣き』がありますです。
Posted by くみ at 2007年01月20日 15:02
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