2006年10月29日

“ケインとアベル”

ジェフリー・アーチャー「ケインとアベル」。
J・アーチャーは政治家だったり作家だったりする人です。
一代貴族(ロード)の称号をもっています。
何年か前に偽証罪で投獄されたりしてます。

もともと下院議員時代に詐欺にあい、無一文になり借金を返すために書かれた小説が処女作「百万ドルを取り返せ!」
これが大ヒットして借金を清算。

『ケインとアベル』は彼の第三作目にして代表作に当たります。
これもまた大ヒット!!
彼にとって初めての大河ロマンです。
『ケインとアベル』というタイトルを一見してわかるように、聖書の『カインとアベル』を意識したことは明らかです。
しかし、ケインとは登場人物『ウィリアム・ケイン』の姓であることから、視覚的効果を狙ったタイトルということですね。

原題は『KANE&ABEL』

「収容所小説」「企業内幕ストーリー」「戦争文学」「復讐物語」そして「ロミオとジュリエット」といった要素を含む小説です。



もう売る気マンマンだったと!!



アメリカの支配階級WASPの銀行一家に生まれたウィリアム・ケインと、私生児として生まれたポーランド移民の(おまけに実の父は男爵)アベル・ロスノフスキの交差する運命と戦い。
お互いの息子リチャード(ケインの息子)とフロレンティナ(アベルの娘)が恋に落ち駆け落ちするなど、コレでもか!!コレでもか!!!とサービス満点なです。

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名家の銀行一家の長男として誰からも祝福されて生まれた『ウィリアム』。
ポーランドの森の中で産み落とされ、産みの母はその場で死に、貧しい猟師に拾われたグワデク(移民時にアベルと改名。実の父である男爵から送られた銀の腕輪に彫ってあった名前)。

生まれも育ちも違う二人が、いつしか銀行の頭取(ケイン)とホテル王(アベル)となり、誤解や偶然から敵対するようになります。

ウィリアムは父をタイタニックで亡くし、義理の父とはうまくいかず、母はお産で死に、両親はいなくなりますが、彼には5000万ドルの遺産が残され、出世の道に困難はあれど、まずは裕福に育ちます。

一方グワデクことアベルは、ドイツ侵攻により12歳から4年間牢に閉じ込められ、その後収容所送りとなります。
収容所を脱走し、アメリカ行きの移民船に乗るまでに壮絶な体験をしています。
アメリカに移民したあとは職をレベルアップしつつ、夜間学校に通い、コロンビア大学の博士号をとっています。

二人を主人公にしていますが、第一主人公は『アベル』だと私は思います。
アベルが森の中で産み落とされたところからはじまり、アベルが生を終えるところで終わるからです。

続編は『ロスノフスキ家の娘』とアベルの娘が主人公になることから、アーチャーはどうもアベルのひいきだったような気がしてなりません。
で、私もアベルのほうが好きです(庶民だからか?)

同じような大河ものには『チェルシーテラスへの道』という作品があります。
屋台引きの野菜売りの少年がデパート王になるまでの物語。
こちらもオススメです。

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posted by くみ at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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