わたしは、歌舞伎の世界のことをちっともわかってないのですが、松井今朝子氏の作品には引き込まれてしまいます。
松井今朝子氏はもともと松竹に勤務されていて、その後フリーランスになり、歌舞伎関係の執筆をなさっていたそうですね。
豊富な知識と資料の積み重ねが、リアリティに繋がるのですね。
わたしはこの作品の主人公「中村仲蔵」という役者のことを知りませんでした。
仲蔵狂乱 (講談社文庫)
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松井 今朝子
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貧しい浪人の子として生まれ、三歳で両親と死に別れ、裏長屋をたらい回しにされて育った仲蔵。
売られるように、梨園に引き取られ、十歳で初舞台。
しかし、血筋の良さがものをいう世界で、「地鶏」である仲蔵が這い上がるには、想像を絶する地獄が待っていた。
不世出の名優が辿る波乱の生涯。
華やかな舞台の裏はなかなかに壮絶です。
女の嫉妬は怖いというけれど、男の嫉妬はもっと怖いような気がします。
門閥外でありながら、常に上を上を目指す仲蔵に、同僚たちは「身の程を知れ」とばかりに暴行を加えます。
暴行・・・というか「楽屋なぶりもの」と言うそうですが。
仲蔵は声が良くなかったそうです。
「役者は一に声、二に顔」と言われるそうです。
仲蔵は声をカバーすべく、呼吸の出し入れを研究し、舞、所作で観客の目を惹くように常に工夫しました。
「仮名手本忠臣蔵」で「定九郎」の役を振られたときから、仲蔵の運命は大きく変わります。
「定九郎」を、地に落ち、食詰めた生々しい浪人として演じてから、仲蔵の人気は江戸市中にとどろくこととなります。
次々と大役を演じるようになる仲蔵。
しかし、人気が出れば出たで、ありもしない噂をたてられ、恨みを買う。
立作者からは嫌がらせをされる。
義理立てする性格につけこまれ、大金をはたく羽目になる。
仲蔵の苦労は絶えません。
それでも一心不乱に芸に生きる仲蔵。
高みへと上り詰める姿に、こう、血が熱くなるような気持ちになります。
市川団十郎、海老蔵、中村勘三郎、松本幸四郎、坂東三津五郎など、現代でもおなじみの名前が登場します。
わたしは十分面白く読みましたが、歌舞伎に詳しい方だったら、もっと楽しめるのではないでしょうか?
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