2009年12月31日

“辰巳屋疑獄”

松井今朝子「辰巳屋疑獄」です。

松井今朝子氏、面白いです!!

ちょっと前まで、江戸時代は戦国時代と違って、変化あんまりないしつまんないな~、と思ってたのですが、最近とても好きです。

庶民(といってもピンからキリまでありますが)の生活が面白いです。

西村京太郎サスペンスばかり読んでいた故親父が、晩年(?)、時代小説ばかり読むようになったのが頭をかすめます。

イヤだな~(笑)。

そんな、親父の文庫本の山を、亡き後、すべてBOOKなOFFに売って処分しちゃったんですけどね。

読んでから処分すればよかったかな~。

辰巳屋疑獄
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貧乏百姓の次男、十一歳の元助が丁稚奉公することになったのは、大阪一の炭問屋「辰巳屋」だった。

そこで出合った「辰巳屋」の小ぼん様(三男)、茂兵衛(後の木津屋吉兵衛)と出会い、師弟の契りを結ぶ元助。

成長した元助は、婿養子に出された茂兵衛改め木津屋吉兵衛のお目付役として、辰巳屋から木津屋に出されてしまう。

やがて、吉兵衛の兄が死に、辰巳屋の相続をめぐって、叔父と姪、主人と使用人が争い、幕府の役人から公家まで巻き込む大騒動が勃発する。

元助は、ただひたすら吉兵衛のために尽くすのだが・・・。

名奉行、大岡越前守忠相が「辰巳屋一件」と日記に記した贈収賄事件を、使用人の目から描く物語。


松井今朝子氏には、吉原、歌舞伎、奥御殿の世界を教えてもらいましたが、今度は豪商です。

「辰巳屋」は幕末まで長く栄えた大阪屈指の豪商です。

「辰巳屋」は手代約460人、家財金二百万両、銀にして十二万貫目(現在の2000億円!!!に相当)の大企業。

日本一の豪商、三井越後屋(三越)なんか、手代数千人以上いたそうですけど。

一石は一両に換算されるので、大名だと二百万石相当の家ということになります。

江戸時代に二百万石なんて大名はありえません。

あ、赤穂浪士の赤穂浅野藩は五万三千石、家臣308名だったそうです。

江戸日本橋に店を構えた大店は、上方商人の江戸店が多かったそうです。

紀伊國屋、奈良屋、淀屋、鴻池屋、泉屋(住友)、ぜーんぶ上方商人ですね。

ま、とにかく辰巳屋は、大名に一万両以上貸し付ける大富豪だったそうです。

主人公・元助(通称・ガンちゃん)は丁稚から手代へと成長していくのですが、そこのところで、昔の商人の育て方がよくわかるようになってます。

丁稚が掃除ばかりしてるのは、家人と客人の顔を覚え、なおかつ、人の顔色を伺い、駆け引きができるようになるため、なんですね。

二年くらいたつと、外へお使いに行かされます。

幼いうちから金銭に馴れさせ、贋金を見分ける力をつけさせる。

当時、江戸は金、上方は銀の流通が主だったので、悪貨をつかまないように仕込むのは大事だったと。

読み書き、算盤は先輩である丁稚頭からみっちり教わります。

元服して手代になると、事務仕事を任されるようになります。

その後、十年ほど勤めて、本家の番頭になるか、暖簾分けしてもらい独立、ということに。

すごいですね。

商売人を育て上げる教育制度が出来てたんですね!!

むしろ、現代のほうがまるで出来てないのでは・・・?

わたしは、こういうことを知るのがとても楽しい、面白いです。

大岡越前が日記に残した「辰巳屋一件」は、辰巳屋の跡目相続の争いが発端です。

長男が辰巳屋を継いで、次男は早くに亡くなり、三男(木津屋吉兵衛)は親戚筋の木津屋に婿養子に行く。

で、長男には本妻との間に娘がいて、娘が婿養子を迎えた。

その後、長男は亡くなった。

そうしたら、辰巳屋を継ぐのは、当然、娘の婿養子ですよね?

他家へ婿養子に行った三男が継げるわけありませんよね?

しかし、肝心の娘とその婿養子が、まだ年端もいかない子どもだった、ってところが問題なのです。

ずば抜けた秀才だった木津屋吉兵衛は、木津屋におさまる器ではなく、その才能をもてあまし、どうも間違った方向に進んでしまうタイプなのです。

才ありすぎるため、自分の実家にはつい口出ししたくなる。

真面目なだけの年寄り番頭をないがしろにする。

商家の根本をゆるがす人物なのです。

主人公・ガンちゃんは、主人を取り巻く不穏な空気を察知したり、見事に空気を読まなかったり・・・清々しいほど、愚直な性格なのです。

主人が大きな過ちを犯そうとしているのには、見事に気がつかない。

主人が辰巳屋の番頭から危ぶまれているのには気がつく。

主人を信じどこまでもついていくものと、主人が過ちを犯したら止めようとするものと、どちらが忠義者なんでしょうか??

木津屋吉兵衛の「辰巳屋」本家への介入を阻むため、番頭たちは、吉兵衛を訴えます。

それに対抗して吉兵衛は官へ賄賂を使うのです。

しかし、上方では「金至上主義」なため、商家レベルでは賄賂はごく当然のものとして考えられており、そこが話をややこしくします。

事件は流れに流れて、江戸の寺社奉行・大岡越前のもとに。

大岡越前守忠相は、幕府高官と大手両替商の癒着に手をつけ、町奉行から、栄転という名の閑職にまつりあげられていた。

その、大岡越前が、「辰巳屋一件」を裁くことになる。

なんとも皮肉なんですが。

裁きの結果は、死罪四人、牢死一人、自害一人。

賄賂を贈った商人の罪は軽く、受け取った官の罪は重い。

騒動を起こした張本人、木津屋吉兵衛は、遠島を許され、家財没収、軽追放。

大岡越前守忠相の扱った最後の事件は、大岡が圧力に屈することで幕を閉じます。

なんともすっきりしない事件の結末。

ガンちゃんが、事の重大さに気がつくのは、本当にラスト部分なのです。

罪を罪だと知らず、主人は六人もの命を奪ってしまったと。

その主人を止めなかった自分の罪を。

吉兵衛とガンちゃんに質素な弔いの日々が訪れます。

事件の顛末はすっきりしませんが、物語の終り方は静か。

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あ、もうこんな時間か~。

これが今年最後の更新になります。

よいお年を。

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うわぁあああああ~!!

水樹奈々ちゃんの晴れ姿を見そびれたーーーっ!!!

今年最後の失敗。


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posted by くみ at 20:12| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(松井今朝子) | 更新情報をチェックする
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