2009年09月10日

“灼恋”

諸田玲子氏の「灼恋」です。

五代将軍・綱吉の絶大な信任を受けた御側用人・柳沢吉保。

彼の側室のひとりである飯塚染子は、綱吉の愛妾であり、後、吉保に与えられた拝領妻であった、という説があります。

染子は吉保の嫡男・吉里を生んでいますが、その吉里は実は綱吉の子であった、と。

俗説とされてますけど。

その「説」を小説化したものが、この「灼恋」です。

灼恋 (新潮文庫)
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諸田 玲子
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零落した公家の娘・染子は、将軍綱吉の御台所・信子の招聘で大奥に出仕することになった常盤井の局(右衛門佐)の部屋子となった。

その染子を綱吉が見初めた。

そして懐妊。

小上臈に手をつけるは禁忌。

染子は大奥を出され、柳沢吉保の世話になることになった。

次第に吉保に惹かれていく染子。

しかし、綱吉は染子に異常なまでの執念を見せる。

身体は綱吉に、心は吉保に。

三つ巴の関係ややがて限界に達する。


綱吉にいい印象を持っている人ってあんまりいないと思います。

「水戸黄門」と「忠臣蔵」と「生類憐みの令」のせいですね。

でもこのおかげで、歴代将軍のなかでも認知度は高いそうです。

最近は、再評価されつつあるそうですけど。

彼が治めた元禄時代は、町人文化が花開いた時代。

江戸時代の最高の好景気。

優れた政治政策を行っていたようです。

でも、やっぱ好きになれないわ。

柳沢吉保。

彼もまた、あまりいい印象は持たれていないようです。

というか「悪人」だよな、世間一般的には。

それも「水戸黄門」と「忠臣蔵」のせいですね。

わたしは、「むちゃくちゃ頭が切れる人」って印象を持ってました。

たぶん、NHK大河の「峠の群像」と「元禄繚乱」のせいだと思う。

わたしの頭のなかでは、吉保は村上弘明(元禄繚乱)です。

水戸光圀は長門裕之(八代将軍吉宗)。

この「灼恋」のヒロイン・染子はもとは公家の娘とされています。

吉保の家臣・飯塚の娘では?と思っていたら、ちゃんと飯塚氏も出番がありました。

なるほどな~、と唸る設定を持ってこられると、納得しちゃうじゃないですか。

さすがです、諸田玲子氏。

水戸光圀が「水戸黄門」からは想像できないぐらい腹黒。

でも、かえってそれがリアル。

染子は、もともとは宮中一の才媛として名高い典侍常盤井の局の部屋子でした。

朝廷の威信を取り戻そうと画策する近衛基熙と、将軍世嗣に甲府宰相綱豊(六代将軍・家宣)を押す水戸光圀が手を組んだところから、染子の運命は大きく動き出します。

近衛基熙の娘・熙子が綱豊に嫁ぐこととなり、江戸の事情を探る連絡係りとして染子が選ばれたのです。

熙子にしたがって江戸へ。

そして、綱吉に将軍が決まってしまったあとは、御台所・信子の招聘によって大奥に出仕した、常盤井に仕えるため大奥へ。

小上臈である染子には、本来将軍でも手を出せないはずなのですが、綱吉は手をつけてしまいます。

そこには、染子を将軍付きの中臈にして切り札に使おうとする、常盤井の思惑が絡んでいたのです。

しかし、染子は中臈になることを拒みます。

拒んでいるうちに、懐妊。

綱吉の生母・桂昌院は激怒し、染子は大奥を出されることになります。

吉保にかくまわれ、吉保の側室となる染子。

その身は将軍が目をつけた女。

吉保は染子に臣下の礼を取りつづけ、綱吉は吉保の屋敷に通ってきます。

綱吉は、吉保に対してコンプレックスを持っています。

綱吉にとって、姿も心も「こうありたいと思う男」が吉保なのです。

その吉保に愛妾を下賜した綱吉。

三人は異様な関係に陥ります。

綱吉の愛し方は変質的としか言いようがありません。

染子の綱吉への嫌悪は募り、吉保への思慕が募る。

しかし、染子は綱吉の子を生み続けます。

その関係を断ち切るための染子の行動が、あまりにも激しく、あまりにも哀しいです。

潔いとも言えますが、こうまでせねばならなかったとは・・・。

大きな犠牲を払い、染子は安住を手に入れます。

「狂言のようでございました」


染子は自分の人生をそう言います。

そういえば、綱吉はことさら能を愛したそうですが。

権謀術数、豪華絢爛と、どこか舞台や絵巻物を彷彿とさせる作品です。

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posted by くみ at 00:37| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(諸田玲子) | 更新情報をチェックする
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