2009年07月08日

“遊女のあと”

諸田玲子氏の「遊女のあと」です。

「ゆめのあと」と読みます。

「尾張名古屋」が舞台です。

名古屋って、大阪とはまた違って・・・「特殊」ですよね。

まず、食文化がね。

名古屋が世界に誇る(いや、誇っているかはわかりませんが)、

「喫茶マウンテン」ウィキペディア

は、名古屋だからこそ、存在するのだと思います。

あれは、おいしいものばかりある大阪ではあり得んと思うんです。

「名古屋嬢」「名古屋飛ばし」「名古屋走り」など、特殊用語(??)もありすぎ。

「名古屋人」は「名古屋飛ばし」に怒りますが、

静岡県なんか、新幹線の駅が6つもあるのに、「のぞみ」が一本も停まらないんだぞ!

とか思います。

遊女(ゆめ)のあと
遊女(ゆめ)のあと
posted with amazlet at 09.07.08
諸田 玲子
新潮社
売り上げランキング: 301161


夫から逃げた女は東へ向かった。

妻に逃げられた男は「女敵討ち」のため西へ向かった。

時は享保。

質素倹約を強いる将軍吉宗に対抗し、遊興が奨励され、空前の繁栄を誇る名古屋。

尾張徳川宗春が治める「夢の都・名古屋」で、女と男はめぐり合う。


面白い。

主人公の男女の背景がしっかりと描かれています。

漁師の妻「こなぎ」が夫から逃げた理由。

同心の鉄太郎が妻を斬らなければならない理由。

二人が名古屋を目指す理由。

時代小説というものは、そこに存在しなかった人物が、実際に生きていたと描かなければならない。

そういう点が諸田玲子氏は非常に上手い。

二人を巡る大勢の人間たち、みなが息づいている。

よく、時代劇では「尾張徳川家」が「陰謀を企んでいる」と描かれるのですが、そういう因縁もよくわかります。

当然、濡れ衣です。

そして、時代小説に実在した人物を登場させる場合、その人物がそういう人間であったと読者に納得させなければならない。

将軍吉宗はケチくさく、魅力なく、それがリアルです。

音曲の素養がないので、歌舞伎が好きではない。

だから芝居を禁じても平気か。

対する宗春の美男ぶり、教養の深さ、センスの良さが際立っています。

宗春が行った政策は、今で言う「規制緩和」。

吉宗によって、芝居も遊興も禁じられ、倹約倹約とぎゅうぎゅうに締め付けられた庶民が、前代未聞の賑わいを見せる名古屋に惹きつけられるのは当然のこと。

名古屋は夢の都。

そこで、主人公たちは一時の夢を見るのです。

大きな陰謀に巻き込まれているとも気がつかずに。

そして、夢は終る。

諸田氏の作品って終り方がいいんです。

この作品もハッピーエンドではないけれど、読後が爽やか。

当時、遊郭が三箇所もあり、華やいだ嬌声と音曲が飛び交っていたという名古屋。

「遊女(ゆめ)」と「夢」がかけてあるタイトルも見事。

Amazon.co.jp遊女(ゆめ)のあと

参加中です↓。いろいろと励ましのクリックよろしくお願いします。
人気blogランキングへ


ラベル:
posted by くみ at 23:06| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(諸田玲子) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。