2009年06月23日

“利休にたずねよ”

山本兼一「利休にたずねよ」です。

第140回直木賞受賞作品ですね。

わしが額ずくのは、美しいものだけだ。


おのれの美学のみで天下人・秀吉と対峙した男・利休。

その美学の深淵をさぐった作品。

利休にたずねよ
利休にたずねよ
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山本 兼一
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「千利休の切腹」

■大徳寺三門に、自身の雪駄履きの木像を設置し、その下を秀吉に通らせた。 ←山門を設置したのは利休ではなく、大徳寺である。

■安価の茶器類を高額で売り私腹を肥やした疑惑。←利休に見る目があっただけでは?

■天皇陵の石を勝手に持ち出した。 ←これは、やったかもしれないな。

■秀吉と茶道に対する考え方で対立した。 ←そりゃ、対立はするだろうな。

■秀吉が利休の娘を妾にと望んだが、利休は拒否した。←そりゃ、拒否するだろうな。

諸説ありますが、こじつけなんですよね。

簡単に言えば「秀吉は利休にムカついた」だけ、だと思うんですけどね。

堀五郎「BL新日本史」に書いてあった説もなかなか興味深かったです。

何にせよ、「謎」があるからこそ歴史は面白いし、物語は生まれるのです。

さて、「利休にたずねよ」

物語は、「死を賜る」利休切腹当日から、遡りながら、利休に関係のあったものたちの言葉で語られていく、短編形式です。

秀吉、細川忠興、古渓宗陳、古田織部、徳川家康、石田三成、ヴァリヤーノ、妻・宗恩、山上宗二、あめや長次郎、織田信長、前妻・たえ、武野紹鴎。

そして最後は切腹後「夢のあとさき」で締められます。

秀吉の勘気を被った利休は、処分のため、堺の屋敷から聚楽第の利休屋敷に移っていました。

その利休屋敷を、秀吉は上洛していた上杉勢に囲ませたため、上杉景勝さんも登場します。

えと、普通にしゃべってましたよ、景勝さん。←そんだけかよ!?

後に利休七哲と呼ばれた細川忠興の妻・ガラシャさんも登場し、利休いついて「美におびえているよう」と述べ、直感の鋭いところを見せてくれます。

軍師・黒田官兵衛さんも利休の茶について、「清らかな艶がある」と語っています。

利休の茶は「侘び茶」

何も削るものがないところまで無駄を省いて、緊張感を作り出すという「美」です。

禁欲的とも言えます。

しかし、利休のその「美」に対する執念というか、執着というか、それは凄まじい。

利休は、内に熱い熱を秘めていた。

その、秘めていたものとは何か?

それが明かされていくという話です。

やはりな。

細川ガラシャと黒田官兵衛は見抜いていたな、と。

利休と真逆の存在である秀吉も見抜いていたんですけど。

歴史の空白を埋めるものが「歴史小説」

その想像を納得させることができるかは作家の実力。

この作品は、完成されていると思いました。

文章は、扱うものに相応しく美しい。

茶道について、もっと詳しい人ならば、なお楽しめるかもしれない小説です。

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posted by くみ at 15:49| 静岡 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さすがに直木賞を取るだけのことはあるようですね。

超人気本って、
なんだか読むのを躊躇ってしまうんですよね・・・
ついつい掘り出し物を見つけたくなってしまうのは、
ブログのせいかもしれません^^;;

くみさんのオススメ本はハズレが無いので、
機会があったら読んでみます^^
Posted by 豆州 at 2009年06月23日 20:45
>豆州さん

>超人気本

わたしもベストセラーはあんまり読まないのですが、この「利休にたずねよ」は「歴史小説だから」ということで読んでみました。

ただ、図書館に予約してからかーなーりー時間がかかりましたけどね。

>オススメ

今、一押しのオススメはやはり

「BL新日本史」

です。
Posted by くみ at 2009年06月23日 21:45
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