2009年05月24日

“天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語”

中村弦著「天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語」です。

第20回ファンタジーノベル大賞大賞受賞作品です。

図書館で、なんとなく棚から抜いた本がこの本でした。

ついでにもう一冊、となんとなく抜いた本が「厭犬伝」(第19回ファンタジーノベル大賞大賞受賞作)でした。

偶然にも第19回、第20回のファンタジーノベル大賞大賞受賞作を抜いてしまうとは「あーらびっくり!!」です。

ファンタジーノベル大賞は、ほんと、幅広い作品が集まってますね。

「厭犬伝」はバトルものでしたが、この「天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語」は建築家の話です。

天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語
中村 弦
新潮社
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明治・大正の頃。

孤独な建築家、笠井泉二。

幼少の頃から人並みはずれた頭脳を持ち、建築家になってからは、同業者が考えも及ばない建物をつくる、その才能が彼を孤独にした。

人は言う。

彼の作る建物は、住む人の心を狂わせる。


主人公・笠井のつくる建物は、和洋折衷といいますか、かなり斬新なものです。

彼は、依頼者の人となり、をこと細かく聞き、その願いをかなえます。

「亡き夫と過ごせる家を」「永遠に住める家を」

建物が出来上がり、依頼者がその家に住むようになると・・・

不思議なことが起こるのです。

依頼者を満足させることが出来る彼は、その才能を生かすことと引き換えに、「人間としての幸せ」を手に入れることができなくなっているのです。

この作品、文章が美しい。

静謐です。

それは、主人公・笠井がつくった建物のようです。

実のところ、笠井の人物像はとらえにくい。

どこか影のある、孤独な人物。
胸のうちをすべて明かすことのない人物です。

彼の人となりは、彼のつくる建物でわかるようになっているのです。

そしてそれと同時に、彼に建物を依頼する、依頼者側の心情、過去なども表現されます。

笠井の過去と、建物の話が交互に入り込み、6章で構成されています。

文章といい、設定といい、物語の組み方といい、尋常じゃない作品です。

なんという、才能!!

中村弦氏は新人だそうで、

恐るべし、恐るべし、

日本ファンタジーノベル大賞!!!

日本ファンタイジーノベル大賞は、新人もプロ作家も投稿できます。

ファンタジー??と敬遠している方にもオススメ。

ファンタジーっていってもいろいろあるんです。

読んでいるうちに、笠井のつくった建物の内部にいるような気分になります。

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posted by くみ at 15:00| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語
Excerpt: 天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語
Weblog: ロドリゲスインテリーン
Tracked: 2009-12-02 10:24
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