2009年05月15日

“厭犬伝”

弘也英明氏の「厭犬伝」です。

第19回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作です。

日本ファンタジーノベル大賞は、世に多くの作家を送り出しております。

大賞受賞作でなくとも、作品が優秀であれば単行本として発刊されます。

鈴木光司氏(いまや審査員)、小野不由美センセ、恩田陸氏、畠中恵氏は大賞を受賞してはいませんが、売れっ子作家でいらっしゃいますしね。

わたし、個人的には「後宮小説」の酒見賢一氏が突出していると思っています。

くわしくはこちらへ→日本ファンタジーノベル大賞。

あ、大賞賞金が高額なことでも有名な文学賞です。

この「厭犬伝」。

なんと、弘也英明氏が生まれてはじめて書いた小説だそうです。

弘也英明氏は1982年生まれ。

第19回大賞受賞時は25歳。

25歳で賞金500万・・・・・・・。

あ、現在会社員だそうです。犬は苦手だとか。

厭犬伝
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弘也 英明
新潮社
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不思議な設定の作品です。

日本の江戸時代のような、中国の影響も受けているような世界です。

魑魅魍魎が跳梁跋扈する異世界。

人間の骸から生えた「汚木」(よごれぎ)を基に操り人形「仏」(ほとけ)を作り、戦や政に使う世界。

「仏」同士を戦わせる遊戯を「合」(あわせ)と呼ぶ。

東都の岳稜警(がくりょうけい)・厭太郎(やたろう)も「合」を楽しむ一人だった。

ある日、厭太郎は、とある疑惑のある人物・東都一の仏師・七路犬暁を仕事上の過ちから死に追いやってしまう。

東都に戻った厭太郎に突きつけられたのは、犬暁の娘・犬千代からの「仇討ち御免の叩き付け状」だった。

「合」で命をかけ、犬千代と戦うことになった厭太郎。

七路犬千代は恐るべき「合」の才能を持った娘だった。


あの娘に勝たなければ、

俺は前に進むことが出来ない。


あ~、変換出来なくてまいった・・・。

簡単に言うと、美少年と美少女の決闘です。

あ、終ってしまった・・・。

人間の死体から「汚木」が生えてきます。

その「汚木」から、仏師が「仏」をつくります。

「仏」は「依姫」(よりひめ)という女性の能力者が複数いないと動きません。

その「仏」は、普通は、罪人を取り締まったりするのに使うのですが、人と人とか競わせれば「合」となります。

「合」を行う場所を「合仏堂」(あわせどう)と呼びます。←ゲーセンですね。

「合」は、まれに子女対成人男性などの仇討ちにも用いられます。

あ~、変換が・・・。

とにかく、あちこち人間の死体だらけです。

人間の死骸が戦っているんですから。

「仏」には、その人間の精神が眠っています。

「汚木」は、仏師に刃を入れるたびに悲鳴をあげるため、その作業場は悲鳴が響き渡っています。

冒頭の山中のシーンから、妙な臭いが漂ってくるような気がしてなりません。

山中も腐海みたいです。
おぞましい生き物が多くて・・・山海老(やまえび)はザク色した、強大化したムカデとエビの合体みたいなヤツだし・・・。

厭太郎は、どっきどきの何もかも(声も)中性的な美少年ですが、腕っ節はやたらに強く、岳稜警(辺境警備隊みたいなもの)を仕事としています。

実は・・・厭太郎には悲惨な過去があるのですが・・・。

彼は、その時から、何かに縛られたように生きてきました。

犬千代との決闘、その先を目指し、彼は闘う決意をします。

七路犬千代は、仏師の最大派閥・七路派の頭首・東都一の仏師の娘なので、それはそれはお嬢さまです。

彼女は父親の死を悼んではいません。

そもそも、事件の発端は彼女の父の悪行にあったわけです。

しかし、彼女は「仇討ち」という形で、残された弟のために命をかけるのです。

「合」で負けても通常は、自分にはダメージはないのですが、決闘の場合だけは別。

命を失います。まさに決闘。

美少年と美少女が、死骸をもとに作られた人形で命をかけて闘う。

おぞましい、設定です。

しかし、厭太郎や犬千代が、決闘の日に向けて、「合」で闘いを重ねる部分などは、根性もののような印象があります。

格闘ゲーム好きな人は、「合」のシーンの面白さがよくわかると思うんです。

いや、決闘はゲームじゃないけどね。

わたしは、格ゲーどころか、ゲームそのものをまったくプレイしないので、そこのところがちょっと残念。

自分の読みにくい部分が出てくると、すぐ「アニメ化してくれ」(ゲームはしないから)と思ってしまうのは怠慢ですね。

わたしは主人公の厭太郎よりも、父の悪行のせいで都中の怨嗟を一人受けながらも、凛として闘う犬千代の味方でした。

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posted by くみ at 16:26| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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