2009年03月20日

“女神記”

桐野夏生氏の「女神記」です。

この作品は「新・世界の神話」シリーズの日本代表作品です。

「新・世界の神話」(THE MYTHS)とは、世界32ヶ国が参加した

「現代作家による、神話の再生」

というプロジェクトです。

「新・世界の神話」(THE MYTHS)について詳しくは→こちらへ。

日本代表作品であるこの「女神記」は世界32ヶ国で翻訳、発売されております。

わたし、何故だか幼い頃から神話好き。

子ども向けの「古事記」やら「ギリシャ神話」やらせっせと読んでいました。

大人になってからもいろいろ読みました。

なので、こういうプロジェクトはとても嬉しい。

女神記 (新・世界の神話) (新・世界の神話)
桐野 夏生
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桐野氏の書いた題材は、古事記のイザナギノミコトとイザナミノミコトの部分です。

国産みのために高天原からつかわされた二神、イザナキとイザナミ。

イザとは「さあ、これから」と人を誘うという意味であり、「ミ」は女、「キ」は男。

イザナミこそが女の中の女、イザナキが男の中の男。

二神は求めあい、愛し合い、「ヤマト」を産んだ。

やがて、イザナミは火の神・カグツチを産んだ際の大火傷がもとで命を落としてしまう。

愛するイザナミを失ったイザナキは、失った妻を取り返すため、黄泉の国へと降りた。

愛する妻を追って、黄泉の国へ降りた、という話はギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケとも似ています。

神話というのは、どこか共通点があるのだなぁ、と思ったのでした。

あと「見ちゃいかん!!」と言われた「妻の姿」を見てしまう、という部分も似てます。

両方とも、夫のうっかりのせいで、生へと戻れるはずだった妻は二度と生き返ることはできなくなります。

オルフェウスの場合、それだけなのですが、イザナキは、愛する妻の醜く崩れた姿を見て、恐ろしくなって逃げ出してしまい、追いかけてきた妻・イザナミに離縁を言い渡します。

古事記ではじめてこの話を知ったときから「ひどい話だなぁ」と思ったものでした。

「見ないで」と言われたものを勝手に見ておいて、逃げ出すなんて!!

しかも醜くなったからって捨てるなんて!!!

あらためて、この「女神記」を読むと、「女」と言うものの、「運命」というか「業」というか、そういうものを感じずにはいられません。

「お産で死ぬのはいつも女」

イザナミの運命は、この国に生まれた女のこうむる運命。

この作品では、イザナミの運命を語るストーリーテラーとして、ある南の島で生まれた、闇の巫女・ナミマを用意しています。

ナミマも娘を産み、その後、とある運命の為、夫であるマヒトに殺された娘でした。

女の業を書いたら日本一の桐野氏は、神話の世界の男女と、古代の男女と、現代社会の男女を重ねて書いています。

なんというか、女の「産む性」であることに対する、男女の温度差みたいなもの。

夫・イザナキに離縁されたイザナミは黄泉の国の女神となり、ヤマトの人間を一日千人殺すようになります。

それに対し、イザナキは一日千五百の産屋を建てる、と誓います。

女は一生で千人の子どもを産むのは不可能ですが、男は一生で千五百の命をつくることは(大げさだけど)可能です(産めませんが)。

国産みという同じ仕事をした、女は穢れ、男は陽の当たる場所で(でなくてもいいけど)、せっせと子どもをつくるというかすることをする。

「怨み」だって「情」だって、女のほうが深くなるのは当たり前ってもんです。

うらみ~ま~す~♪と歌うのも女。

女神の怨みは決して消えることがないのです。

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posted by くみ at 23:22| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(桐野夏生) | 更新情報をチェックする
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