2009年01月21日

“さよなら渓谷”

吉田修一著「さよなら渓谷」です。

吉田修一・・・吉田修一・・・どっかで聞いたことあるな・・・とか思ったら、芥川賞も山本周五郎賞も受賞してた・・・ああ・・・。

もう、元書店員の知識もアテにならなくなってきたな。

店員じゃなくなってから、かなり、かなり経ってるもんな~。

最近は、「書店の店頭」ではなく、「ダ・ヴィンチ」か、皆さまのブログで本を知ることが圧倒的に多くなってきました。

図書館は~、○川中央図書館はほんとに品揃えマズいんで。

「日版速報」は定期購読不可能なんだろうか??ってアレ、一般客が定期購読できたら意味ないよなぁ。
個人的思い入れがまったくない情報の羅列がいいんだけどなぁ。

わたしは、読書専門ブログさまよりも、リスペクトしているキラキラブログさまから、情報を仕入れることが多いです。

というわけで、いつもだったら自分で選ばないような本を、借りてきました。

とある市営団地でおこった「幼児殺人事件」

押し寄せる取材陣。

その若夫婦は、容疑者の隣家に住んでいた。

記者は、取材を進めるうちに、その2人のとてつもない秘密を暴き出してしまう。

「嘘だろ・・・」

2人が抱える、残酷すぎる真実とは。



住民同士の付き合いが希薄な市営団地で起こった「幼児殺人事件」は、かつて実際の起こった事件を思い起こさせます。

過剰なまでに容疑者を追い掛け回す取材陣たち。

近隣にまで無遠慮に入り込むカメラ。

とある偶然から容疑者の隣家の若夫婦・尾崎俊介とかなこは主人公の雑誌記者・渡辺の取材のターゲットとなった。

尾崎は15年前に“ある事件”を起こしていた。

“ある事件”

とても、とてもおぞましい事件です。

主人公の渡辺が先輩記者にこう聞くのです。

“自分の息子がこういう事件を起こしたらどうするか?”

その先輩記者はこう答えます。

“がっかりするよ。そんなバカなことで息子の一生が台無しだなんて”

“じゃあ、自分の娘がこういう事件の被害者になってしまったら?”

“相手の男、ぶっ殺すよ”

息子が加害者になれば、「がっかり」

娘が被害者だったら、「相手をぶっ殺す」

この手の事件は加害者の罪がとても軽くて、こういう事件が怒るたびに、わたしはいつも怒っています。

この社会は男が作ったものだから、男に都合がいいようにしか出来ていないんだ、と思ったりします。

この小説では、尾崎の罪は「執行猶予5年」でした。

それなりに罪を償おうとした彼は、意外なほど、すんなりと社会に戻ります。

じゃあ、被害者の彼女は??

わたしはこんな事件が怒った時、「被害者にも隙があったから悪い」とか言う人を嫌悪します。

でも、実の父さえ(いや実の父だからこそか、男ってヤツは・・・)彼女を責めた。

被害者が、過去に怯えずに済むのは、加害者の前でだけ。

尾崎とかなこの関係は、はっきりいって普通の神経では考えられないものです。

その関係は読み進めるうちに予想がついたので、衝撃的ではありませんでした。

でも、その関係がはっきりした時点で、わたしはやっぱり動揺しました。

静かな、暗く、重い、動揺でした。

幸せを求めるのは人間として当然のこと。

自分から不幸を求めるなんて。

だけど人間は、どんな人間でも幸せになっていいんでしょうか??

なっていいじゃないか!!とわたしは言えない。

でも・・・・・・。

とにかくやりきれない作品です。

世の中、わりきれないことの方が多いもの。

やりきれない作品ですが、誰かに読ませたくなります。




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posted by くみ at 22:23| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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