2008年11月20日

“中世炎上”

瀬戸内晴美著「中世炎上」です。

古典のなかでも、もっとも衝撃的な作品と言われる「とはずがたり」の小説版です。

同じく瀬戸内晴美氏の「私の好きな 古典の女たち (新潮文庫)」を読んで、はじめて「とはずがたり」のことを知りました。

びっくりしたーーー!!

あまりにも衝撃的な内容なのです。

「とはずがたり」は日記文学(虚構もあり)なので、衝撃的な内容は事実、おおよそ事実。

昭和13年にその存在が明らかにされ、15年に発表されたという問題作、らしい。

で、瀬戸内氏が小説化した「中世炎上」という作品のことを知り、読みたい!!と本屋や図書館で探してみたのですが、見つからず。

「中世炎上」が「週刊朝日」に連載されていたのは昭和46年~昭和47年、ということなので「こりゃ見つからんわ」と半ば諦めていたのでしたが、

あった。

我が家に。

あれ・・・・・??

すげぇよ、母!!!

わたしの読書傾向は良くも悪くも、母の影響を受けているんだなぁ、と思いますですよ(読書だけじゃないですな)。

Image017.jpg



「とはずがたり」の作者は後深草院二条という宮廷女房です。

しかし、宮廷での扱いは、ちょっとほかの女房と違っていました。

二条は由緒正しい家柄・久我家の生まれです。

父は中院(久我)雅忠。母は四条隆親の娘。

二条の母は大納言典侍という女房で、後深草院の初恋の女性でした。

二条は二歳のときに母を失います。

このとき、母が遺言で「この子は宮仕えをさせてほしい」と言ったらしいのですが、本当かどうかわかりません。

後深草院(十九歳)は、初恋の女性の面影のある二条を四歳から手元に引き取って育てます。

何かに似ている・・・そう、光源氏と紫の上ですね。

どうも、この時代の宮廷は実権は鎌倉幕府に奪われ、平安の良き時代をなぞり生活していたようです。

ま、そんなわけで後深草院の養女状態で御所で育てられた二条は、他の女房より特別待遇だったわけですが、十四歳の正月にさらに特別待遇になります。

後深草院(二十九歳)の御手がついたのです。

四歳の頃から育てた少女に手をつける。

変態ですね。
こんなことするのは光源氏とソルジャー・ブルー(え?)くらいです。

ま、ともかく二条は院の愛人になります。

父の身分からしても、妃になれたはずなのですが、それからほどなくして父・雅忠が死去。

後ろ盾を失った二条は女房の身分のままです。

そして、実は二条には、院の御手がつく前から恋人(西園寺実兼らしい)がいたのでした。

まぁ、ともかくこの二条という女性がもてる。

後深草院の愛人だっていうのに、承知で男が言い寄る。

もてまくる。

美女だったらしいのですが、才覚もあったらしいです。

しかも相手が、超一流の殿方ばかり。

仏門に入った、後深草院の弟、性助法親王さえ恐ろしいほど情熱的に二条にせまります。

保護者面している後深草院は、実の妹にも手をつけるアブノーマル思考の持ち主で、これが原因で、二条はスキャンダルな人生を送ることになります。

波乱に満ちた女性を、波乱に満ちた生活をしていた瀬戸内センセが書かれると、より、衝撃的、愛欲に満ち溢れたものになるんでしょうかね。

もっとも出家されてからの瀬戸内センセは、この作品に納得がいかず、改訂されているらしいですが。

わたしが、

びっくりしたーーー!!

となったところは、二条が実兼の子を妊娠してしまうところからです。

その前に十六歳で二条は院の皇子を産んでいます。

どうにもこうにも、院の子を妊娠しないタイミングで、実兼の子を妊娠してしまった二条。

実兼と申し合わせ、妊娠六ヶ月を四ヶ月だとごまかし院に報告。

ごまかしたまんま臨月を向かえ、ひどい伝染病にかかったといいふらして、実家の奥にこもり、出産してしまいます。

赤ん坊は女の子。

その生まれた子の臍の緒を、実兼は自分の太刀で切り、そのまま赤ん坊をどこへやら連れ去ってしまうのです。

実兼の本妻が、同じ時期に女の子を出産し、その後死んでしまったのと、二条の産んだ女の子をすりかえたというのです。

えーーーっ!!??

無茶苦茶です。

で、世間的には二条は死産した、ということで押し通してしまうのです。

このすりかえられた娘が、後に亀山院に入内する、昭訓門院瑛子だということになります。

えーーーっ!!??

この出産の部分のリアリティさは学者のセンセがたも指摘しているようで、どうやら事実っぽい。

原文は読んだことがないのですが、瀬戸内センセも迫真にせまる描写です。

ヒロイン、二条は二十七歳のとき、いきなり院の寵愛を失い(院の中宮・東二条院の激しい嫉妬が原因)、御所を追い出されてしまいます。

その後、原作ではいきなり、出家した尼姿で登場。

今度は西行のように旅を続ける生活となります。

光源氏に愛された紫の上は、最期までのぞんだ出家をすることができませんでした。

二条は、おそらく三十歳前で出家した。

潔いなぁ、と思います。

二条は、男の学者センセ方には大変、評判のよろしくない女性らしいです。

軽々しい、とか。

でもわたしは好きだな、単純に。

いや、同僚にいたらたまったもんじゃないけど。

古典の小説化には、何かと文句が多い方々もいらっしゃるようですが、現代の古典教育のおそまつさからしてみたら、小説ででも、古典に触れようとするのはいいことなんじゃないか?と思います。

漫画だっていいと思う。

「あさきゆめみし」なんて、国文科の学生のバイブルなんじゃないでしょうか??

細かく分析するのは学者センセがたの仕事。

わたしたちは、ただそういう物語があった、ということを知って、楽しめばいいのだと思うんですけど。


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posted by くみ at 20:25| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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