2011年07月27日

“伏〜贋作・里見八犬伝〜”

桜庭一樹「伏〜贋作・里見八犬伝〜」です。

モチーフはもちろん「南総里見八犬伝」です。

日本人は「八犬伝」が大好き。

わたしも大好き。

「八犬伝」を題材とした作品は数かぎりなくあります。

わたしが一番最初に思い浮かぶのは、鎌田敏夫の「新・里見八犬伝」です。

薬師丸ひろ子主演で角川映画になったヤツの原作ですな。

鎌田敏夫のはエロかった。→新・里見八犬伝 (上) (角川文庫 (5887))


映画になったらエロくなかった。→里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]


ま、薬師丸ひろ子だしな。

さてさて、この作品↓「伏〜贋作里見八犬伝」は週刊文春に連載されていたのを偶然読みました。

桜庭一樹氏は直木賞受賞作品の「私の男」がちょっと・・・だったので、敬遠していたのですが、この連載をチロっと読んで、興味が出ました。

苦手だと思った作家さんの作品も、「歴史もの」っぽいとするする読めるんですな、わたしは。

それからいろいろと読みましたよ。

桜庭さんのエッセイも大好き。

伏 贋作・里見八犬伝
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桜庭 一樹
文藝春秋
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ちっちゃな猟師の女の子・浜路は、義理の兄・道節を頼って、江戸へとやってきた。

浜路は賞金稼ぎのため、兄とともに江戸の街で「伏」(犬人間)を狩ることになる。

伏ってやつに生まれるとよ。

なぜだか、世の中ってもんにうまくなじめねぇ。

ひとを愛せないし、愛するものを守る力も、心ももたないぜ。

複雑なめぐり合わせによって出合った男・滝沢冥土が、浜路に語る「贋作・里見八犬伝」とは・・・?

ということで、猟師・浜路の捕物帖のなかに「贋作里見八犬伝」が劇中劇として登場します。

この「贋作里見八犬伝」の部分が圧巻でした。

里見義実の娘・誰からも愛される光のような存在であった伏姫が、因果を背負い畜生道に身を落としていく様に、ゾクっとしました。

八房も、飼い犬から野生の獣へと変化していきます。

じわじわと変化するカンジ。

ものすごく無知なことなんですが、わたしは「南総里見八犬伝」で、伏姫が「異種姦」をかたくななまでに否定していたのを重要視していませんでした。

すみません。

だってここは日本!

鶴と人間との間に子どもが生まれてしまう日本!!

天女と人間との間にも子どもが生まれてしまう日本!!

「異類婚姻譚」についてはおおらかすぎる日本!!

「南総里見八犬伝」は→忠臣・孝子・貞婦のおこないは報いられ、佞臣・姦夫・毒婦のおこないは罰せられる、儒教的道徳にもとづいた勧善懲悪の物語なんですよね。

作品上はそう描かれていたけれども、滝沢馬琴も「異類婚姻」を想定して書いていたんではないか?と勝手に思ってました。

すみません。すみません。

この作品は「八犬伝」を「因果の物語」として描いています。

主人公の浜路は根っからの猟師で、自分のすべきことをわかっています。

例え知り合った相手だとしても、自分は「狩る側」、伏は「狩られる側」

「光と影」、「繁栄の陰に埋まる人身御供」

様々な因果が描かれています。

「南総里見八犬伝」のキャラクターが、「伏〜贋作里見八犬伝」と「贋作里見八犬伝」に別れて登場します。

これは、原作の「南総里見八犬伝」を読んだことがないと、ちょっと厳しいかもな〜とも思います。

知っているからこそややこしいという意見もありますな。

わたしはそこは気にならなかったんですけども。

難点を言うと、作品中で語られる「贋作里見八犬伝」が秀逸すぎて、本編が拍子抜け。

本編はアクションです。

そして、この作品はアニメ化が進んでいるらしいですが・・・。


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posted by くみ at 22:53| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書(文芸・評論) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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