2010年03月10日

“実朝の首”

葉室鱗氏の「実朝の首」です。

鶴岡八幡宮の大銀杏が倒れてしまいました。

昨日(3/9)からの悪天候の影響と言われています。

八幡宮のご神木だった大銀杏。

鎌倉幕府三代将軍・源実朝を暗殺した、甥の公暁が隠れていた銀杏、ということで「隠れ銀杏」と呼ばれていました。

公暁は実朝の首を刎ねるとき、

「親の仇は、かく討つぞ」

と叫んだとか。

このとき、殺された実朝二十八歳、殺した公暁二十歳。

大銀杏に公暁が隠れていた、ということは江戸時代からの言い伝えらしいです。

歴史小説にもこのシーンは多く登場しますが、これは現代の作家の資料に基づいたフィクションであるので、本当のところは誰もわからない。

でも、大銀杏はそこに立っていて、真実を見ていたことは確かです。

真実を知っていた、偉大なる歴史の目撃者が倒れてしまいました。

ちょうどこの「実朝の首」を読んでいて、記事に書こうとしていて、他の資料も読んでいたところだったので、大銀杏が倒れてしまったことを知って、その偶然にびっくりしました。

そしてネタ的には「ナイスタイミング!」と思ってしまいました(申し訳・・・)。

実朝の首
実朝の首
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葉室 麟
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建保七年、正月二十七日、雪の夜。

鶴岡八幡宮で右大臣拝賀の式の夜、源実朝は甥の公暁に暗殺された。

公暁は実朝の首を刎ね、首を抱えると闇の中に消えた。

公暁を唆したはずの三浦義村は、土壇場で公暁を裏切り、公暁を討った。

公暁が持っていたはずの実朝の首は見つからない。

北条義時、三浦義村、後鳥羽上皇、そしてとある人物。

死んだ実朝の首が、男たちを振り回す。

我が子が孫に討たれるというおぞましい悲劇の中、冷静な決断を下す尼将軍・政子。

そして、真実を知る少女がひとり・・・。


鎌倉時代初期のことは、実はややこしくて、わたし、よくわかりません。

印象としては「血生臭い」

北条一族が比企一族を滅ぼした理由は、なんとなくわかるのですが。

陰謀ありすぎ。陰謀なくても皆殺し。

娘の夫だろうが、妹の子だろうが、従弟だろうが、おかまいなし。

余計な疑いを持たれて(疑いを持たれた方も悪いのですが)、血祭りに上げられたものが多すぎる。

公暁の父、頼家に手をかけてのは北条一族。

頼家が死んだとき、実朝はわずか十三歳。

公暁に、実朝を「親の仇」と吹き込んだのは誰だったのでしょうね?

わたしはずっと、公暁の黒幕は三浦義村だと思っていたのです。

この作品では、もっと複雑に人々が絡み合っていて、物事は一方から見てはいけないのだな~と、つくづく思いましたよ。

三浦義村は真っ黒ですが、他にも怪しい人間はいた、と。

どいつもこいつも怪しいんですけど。

実朝の首が、公暁に奪われ、その後見つかっていないということもはじめて知りました。

資料調べたら、ちゃんと書いてありました。

物語は実朝の首をめぐって、描かれます。

体裁を守るため、実朝の首を取り戻したいもの。

忠義のため、首を守るもの。

権威のため、首を手に入れることを望むもの。

寵愛のため、首を奪うもの。

殺された実朝の遺言とは?

実朝という人は、北条氏の傀儡と思われているところも多いけれど、本当はそうじゃなかった、というところが清々しい。

将軍家正統であり、政子の精神の後継者(いや、実の孫だが)、竹御所鞠子(頼家の娘)も登場し、歴史好きとしては、ツボを押さえてるな~とカンジさせらる作品です。

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posted by くみ at 22:14| 静岡 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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