2009年07月26日

“美女いくさ”

諸田玲子「美女いくさ」です。

2011年のNHK大河ドラマは「江~姫たちの戦国~」だそうです。

脚本が、「篤姫」の田淵久美子さん。

ま、なんというか・・・今年みたいな・・・な状況にはなるまい、と思ってます(あそこまで壊滅的なのって、ある意味スゲー)。

崇源院。江、あるい小督、お江与。

従一位を追贈された際は達子(さとこ)。

浅井長政と織田信長の妹・お市の方との間に生まれた、三人娘の末妹。

二度の落城と三度の結婚を経験する。

徳川秀忠に嫁ぎ、将軍御台所、将軍生母、中宮生母、明正天皇外祖母となる。

秀忠に嫁いでからの彼女の人生は、なかなかに輝かしいです。

結構、歴史的に重要な女性であるにもかかわらず、彼女の資料は少ないそうです。

小説、ドラマで取り上げられることが少ないのは、姉・茶々(淀殿)の印象が強烈すぎるから、かもしれません。

山岡壮八センセの「徳川家康」のなかでは、彼女は、美貌は姉二人には叶わないが、そのかわり思慮深く、器量は一番優れている、とされていました。

山岡壮八センセの作品は、わたしの戦国時代の「基本」となってしまっているので、わたしもそうなんだろうな~と思ってました。

永井路子センセの「乱紋」は、彼女を主人公にした作品ですが、まーったく印象が違う女性となっているので、読み比べると面白いです。←この作品は近々記事アップの予定です。

杉本苑子センセの「月宮の人」では、感情を表に出さない、別次元で生きているような印象でした。

春日局を主人公とした作品では、また違うんでしょうね。

家光より忠長を可愛がったとか、秀忠に側室を持つことを許さなかったとかって誇張されて、ヒステリックに設定されているんでしょうね。

わたし、春日局、好きじゃないんで、そういう作品の設定はスルーです。

歴史を題材に書くってことは、歴史の空白を埋めることです。

だって、誰も産まれてなかったんだから、想像でしかない。

それを、読者に納得させることができるかってことは、作者(脚本家)の力量です。

諸田玲子氏の作品は、ほんと独創的。

ドラマティックな展開で、するっと入り込めます。

美女いくさ
美女いくさ
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諸田 玲子
中央公論新社
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信長の妹、お市の末娘、小督。

母ゆずりの美貌と、三姉妹のなかで一番信長似の気性を受け継いだ少女。

安濃津の城で育った彼女は、叔父・信包に言う。

あの海が欲しゅうございます。

そんな彼女を、叔父は「女弾正忠」と呼んだ。

この小説での浅井三姉妹のキャラクター設定は

茶々→性格は母・お市の方に似ている。芯は強く、感情を表に出さない。長女であるゆえ責任感が強い。父・叔父・養父の死の影響で信心深い。美人。

初→性格は父・浅井長政似。柔和で明るい。自分から胸のうちをさらけ出すことができる。当然美人。

小督→性格は叔父・信長似。喜怒哀楽を隠せない。姉妹の仲で一番お転婆。思い立ったら即行動。嫉妬深いと自認。もちろん美人。

と、なっております。

女子は嫁して子を生し、家を守るのがつとめ。


北ノ庄落城の際、お市の方は娘たちにそういい残しました。

何かあるごとに小督は、その言葉を思い出します。

最初の夫、佐治一成への思慕に苦しみながらも、岐阜宰相・秀勝に嫁ぎ、そして秀勝が死に。

娘・完子(さだこ)を産みます。
この完子については、諸田氏の創作がかなり入ってます。

そして、三度目の夫・秀忠との婚姻。

秀吉の老いの狂気に次第つのる嫌悪。

彼女は自分から豊臣を見限る決心をします。

徳川に根を生やす。

子を生み、家を守ってみせる。

二度と豊臣には戻らない。


それが、彼女の“いくさ”です。

利発であり、烈しい気性の持ち主でありながら、彼女は政に口出しをしません。

次第に豊臣との対立を深める徳川家で、小督は子どもを立て続けに産んでいきます。

家光の乳母・お福との確執。

これは「育ち」の違いのせいか?

彼女は舅・家康の影響を大きくうけ、女性として、人間として、大きく成長していくことになります。

秀忠が側室を持たないのも、よくわかります。

嫉妬深いと自認していますが、結局、お姫さま育ちで人が良く、一度口に出せばすっきりとしてしまいます。

そういえば、この作品の淀殿は、なかなかの新解釈。

家康との対立にもなかなか興味深い意味があります。

小督を主人公にした作品ではありますが、「美女いくさ」とは、彼女のいくさ、淀殿のいくさ、初のいくさ、そして細川ガラシャなど様々な女性の“いくさ”です。

最後は、彼女の娘たちをずらりと並べてあります。

東福門院和子、初姫、勝姫、珠姫、千姫。

娘たちの“いくさ”ははじまったばかり。

和子と千姫はともかく、ほか三人はやはり大切に大切に育てられたため、苦悩していてもどこか愛嬌があります。

彼女の娘たちがどうなっていったか、調べてみると面白いです。

もういっそ、大河はオリジナルじゃなくて、この作品を原作にしたらいいよ、と思います。

若干無理がありますが。

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ラベル: 戦国小説
posted by くみ at 23:12| 静岡 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 読書(諸田玲子) | 更新情報をチェックする
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