オカンに
「アンタ、あんまり、荒んだ話ばっかり読まないほうがいいんじゃないの?気分の調子に悪いんじゃない??」
と言われました。
夕飯時にこの「リアルワールド」と桜庭一樹の「私の男」を話題にしたからか(とくに桜庭一樹「私の男」のほうが)。
あんま、関係ないんじゃない??
トシちゃん(ホリ ニンナ)こと山中十四子(高校3年)は、隣の家に住む少年(高校3年)が母親を殺したことを知る。
トシ、テラウチ、ユウザン、キラリンの4人グループは、少年の逃亡を手助けしてしまうことになる。
5人の高校生のそれぞれの行動、思惑、そして「世界」とは?
ということで、書名は「リアルワールド」ですが、5人の高校生の身の上に起こった出来事は全然「リアル」ではないです。
桐野夏生氏の作品は、物事を誇張して描き、読む人間を無理矢理、現実と向き合わせるようなところがあるのです。
そこが「リアル」
この作品はすべて一人称です。
ホリニンナ、ユウザン、ミミズ、キラリン、ミミズ2、テラウチ、キラリン2、ホリニンナ2
と、各々の心情が吐露されていきます。
わたしにとっては、この高校生たちの会話口調も語りも、限りなく現代の高校生に近いと感じるんですが、実際の高校生が読んだら、「こんな言葉使わないし」と思うかもしれません。
ホリニンナとは、一応主人公であるトシが普段使っている偽名です。
彼女たちは、アンケートもカラオケボックスの会員証も、すべて偽名、偽住所で通しているのです。
ごくごく普通の女子高生です。
偽名を武装だという彼女たち。
仲良しだという4人組の彼女たちは、お互いが何を隠しているのか、何を知られたくないのかを知っていて、知らないふりをしています。
理解しあっているようで、まったく理解しあってない、ということを理解しています。
そうやって付き合ってきた彼女たち。
偽名によって守られていた、居心地の良かった世界は、自分たちがミミズと蔑んだ少年の起こした事件によって、やがて崩壊することとなります。
リアルだと思っていた世界が崩れて、中からまたリアルが出現してくるの。そう、超リアル。
テラウチが書き残した「超リアル」
自分の存在が揺らいで、自分の立ち位置がわからなくなるような体験を、ま、わたしぐらいの年齢だったら誰でも経験していると思うんですよ。
女子高生にとっては、それがはじめての経験であった、ということなんでしょう。
それがまたよりにもよって強烈であった。
物語の結末は、4人がそれぞれの方向へ。
母親を殺した少年は、犯罪を犯す少年ってこんな風に考えるのではないか??本当に思えたりします。
アホか!?とも思いますが、やはり恐ろしい。
文章は、桐野氏、さすがのスピード感。イッキに読めます。
ほんの数日の夏休みの出来事なんですよ。
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ラベル:本