2008年12月06日

“この闇と光”

服部まゆみ著「この闇と光」です。

初版が1998年。

あぁ、もう10年経ってしまったんだ。

この本は、わたしが書店で働いているときに、注文だして入荷して、棚出しした覚えがあります。

書き下ろしのミステリーシリーズだったから(何度も書いたけどミステリーは苦手です)、まぁ、自分では読まないだろうなぁ~と思ってたんだけど、読んだんだな、これが、借りて。

書店員同士で本を貸し借りするってことは日常茶飯事だったから。

この本は彼女が貸してくれなかったら、たぶん一生読まなかっただろうな。



父はよく私を「光の娘」と呼んだ。輝くように美しいと。

「今日は目の醒めるような薔薇色のドレスだよ」

「明るい薔薇の花びらのようなピンクだ。襟はレースの縁取りのある白」

幽閉されている盲目の姫君・レイア。

虐待を繰り返す侍女・ダフネ。

失脚した優しい父王。

3人の暮らしは続く。

父王が姫に教えるのは「いばら姫」「白雪姫」「ラプンツェル」など美しい物語ばかり。

レイアにとって父こそ「光」

幻想的で優美な世界に、時々入り混じるノイズ。

カセットテープ、CDなど、何故かこの世界には不似合いなものが時々登場する。

レイアが13歳になったある日、彼女の「世界」は瓦解する。

ここまでで物語中盤です。

物語、ラストは人によっては「衝撃的」であると感じるそうですが、わたしには「予定調和」の世界だと感じられました。

あぁ、ミステリー脳を持ってないわたしは人生、損!をしていると思う。

この物語は「文章」でしか成立しえないトリックで描かれています。

映像化は不可能。

幻想と真実。

人にとって、どちらが本当に望んでいるものなのか。

どちらが「幸せ」であるのか。

他人から「不幸」ととらえられても、本人たちが「幸福」と思うのなら仕方ないものなのか。

「闇」は不幸なのか。

「光」は幸福なのか。

ミステリーの結末よりも、最後に暗示されている、「彼ら」のこれから、が気になる物語です。


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posted by くみ at 16:10| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
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