2008年08月11日

“鏡の森”

タニス・リーの「鏡の森」です。

「現代のシェヘラザード」「ダーク・ファンタジーの女王」と言われる彼女の作品、実は読んだのははじめてです。

この作品は「タニス・リー版・白雪姫」らしいです。

ギリシャ神話の有名な、「冥王ハデスが収穫の女神デメテルの娘・ペルセポネを攫い強引に結婚してしまった」という逸話もモチーフとしてちりばめられています。

鏡の森
鏡の森
posted with amazlet at 09.06.22
タニス リー
産業編集センター
売り上げランキング: 108344


黒は森、白は雪

雪の下に伸びるは赤き薔薇。


髪は森のように黒く、白い肌は雪よりも美しく、血のごとく赤き唇、瞳は明るい水灰色。

王女アルパツィアが14歳になった冬の日、彼女の住む城は征服者ドラコによって陥落し、連れ去られた彼女はドラコによって陵辱される。

アルパツィアはドラコによって「豊穣の女神デメトラの土地」ベルグラ・デミトゥに連れて行かれ、無理矢理に王妃にされ、やがて敵中で女の赤ん坊を産み落とす。

14歳の若すぎるアルパツィアには、自分の産んだ子をどうしても認めることができなかった。

生まれた王女は「鮮烈な白さ」という意味に由来する名「カンダシス」と名づけられた。

まわりは本能的に王女を母親から引き離し、母親も娘を愛そうともしなかった。

カンダシスはまわりのものから「コイラ」(娘という意味)と呼ばれ、母を知らずに育った。

しかしコイラが7歳になったある日、彼女は城でたまたま見かけることのある、美しく冷たい女、侍女たちから「魔女」と呼ばれている女が自分の母親であると気付く。

「白雪姫」の魔女が、実は「継母」ではなく「実母」だった、というのは結構知られている話ですよね。

グリム童話の本が売れたことがありました。

白水社のこのシリーズ↓。
初版 グリム童話集〈1〉

白水社
売り上げランキング: 66310



桐生操氏のこのシリーズ↓。
本当は恐ろしいグリム童話
桐生 操
ベストセラーズ
売り上げランキング: 131485


当時、売れましたね~。

何故だか知らないけれど、わたしは幼い頃から、「白雪姫」に出てくる「魔女」が、「白雪姫の本当の母親」だと思っていました。

実際、実の母娘だからこその「確執」というものを、わたしは幼い頃から無意識に感じていたのだと思います。
大人になってはっきり意識するようになりました。

だから、「魔女」が「白雪姫の本当の母親」でも違和感を感じたことはありません。

むしろしっくりハマる。

さて作品の「白雪姫」の母親「アルパツィア」

男女の営みも知らぬ、幼さで陵辱され、得体の知れないものを身ごもった恐怖。

たったひとり、敵中にいる恐怖。

その果てに産み落とした娘への嫌悪。

リアリティを感じました。

が、

妊娠したことないので、本当のことはわかりません。

自分の敵で、自分を無理矢理犯した、しかも生理的に嫌悪感を感じる男の子どもを、果てして愛せるものなのか??

わかりません。

生まれた娘が自分そっくりだったとしたら・・・??

まるで鏡を見ているように、自分に見えてしまったら・・・??

アルパツィアは幼くして母となり、王妃となり、誰も彼女を成長させようとしませんでした。

アルパツィアの心はいつまでも14歳のままなのです。

いつまでも美しさが保てるわけではなく、やがて老いて醜くなり・・・。

娘の「コイラ」は彼女と別の道を歩むことになります。

彼女を目覚めさせた「王子」は、彼女にとって「救い」ではありませんでした。

死んでいる娘に何かしようとする男なんて、よっく考えれば・・・アブノーマル??

この作品、ダーク・ファンタジーと言われてはおりますが、ファンタジーなのは「文章」であって、書かれている内容はとてつもなく「リアル」ではないか?と思いました。

文章はまるで色の洪水のようです。

タニス・リーの文章は和訳するのがむずかしいのでしょうか??

曖昧な表現が多いので、若干読みにくいです。

けれど、わたしは彼女のほかの作品も読んでみたいと思いました。

Amazon.co.jp→鏡の森

参加中です↓。励ましのクリックよろしくお願いします。
人気blogランキングへ


ラベル:
posted by くみ at 23:00| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(文芸・評論) | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。